2019 Fiscal Year Research-status Report
Philosophy of "collective intentionality" in technology
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18K18474
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
直江 清隆 東北大学, 文学研究科, 教授 (30312169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高浦 康有 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (00340216)
金光 秀和 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (50398989)
上杉 繁 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80350461)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 技術哲学 / 集団志向性 / 集団責任 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、先行研究のレビューに基づいた集団志向性の理論の構築な作業と、集団志向性が問題となる場の調査を行った。従来、技術的人工物による人間の知的な能力や運動能力の変容について、ドン・アイディが示した人間と技術の基本的関係である身体化関係、解釈学的関係、他者的関係、背景的関係の関係を基軸に議論がなされてきたが、この議論を集団的営み、とりわけディレンマを含むような倫理的な営みへと拡張すべく、現象学、認知科学、生態心理学などに研究を行い、理論構築を試みた。その暫定的成果については、研究協力者とともに2019年前半の国内(応用哲学会など)及び国際学会(国際技術哲学会(Society for Philosophy and Technology)など)のワークショップで報告した。また、国際会議において海外の研究者と共同討議を行い、今後のこのテーマに関する研究交流と調査を遂行するための土台とした。 本研究の一環としての集団志向性に関する経験的研究(現場の聞き取り調査)として、神奈川県厚木市にある日産自動車総合研究所を訪問し、研究者と地域との対話による電気自動車の設計の事例についての予備調査を行い、また、IoTに関する開かれた開発の具体例として"Code for"などにおける地域コミュニティで技術を醸成していくプロセスの聞き取り調査も行った。製作現場における集団志向性の具体例としては宮城県大和町のトヨタ自動車東日本株式会社などの視察も行い、理論化のための基礎作業を着実に遂行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論形成の作業に関しては順調に進行している。理論研究と平行して進める予定であった企業への実地調査に関しては、本年度は予備調査がを精力的に行ったが、2月及び3月に集中的に調査をする予定でいたため、このなウィルス蔓延の影響で2020年度後半に実施をずらさなければならなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き集団志向性に関する理論的、経験的研究を行う。コロナウイルス感染状況を睨んで年度の前半は理論的取りまとめに重点を置くが、年度後半には、今年度に聞き取りをする予定であったハウスメーカーなどの調査を通し、「認知者・使用者・設計者」間の協働関係、認知の相互補完関係を調査する。調査に当たっては研究倫理委員会の審査を経る。また、必要に応じて協力者を募る。また、参加型デザインにおける集団の志向性について、同様の問題に取り組むオランダおよびドイツの研究者とのオンラインでの会合を持ちの集団責任、役割責任、共有責任などの意味内容の解明をはかる。以上の内容で、可能なかぎり国内外の学会で報告する。
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Causes of Carryover |
2019年度2月、3月に聞き取り調査を集中的に行う予定でいたが、コロナウィルス感染拡大に伴い2020年度に繰り延べになった。20年度広範に当初予定していた調査とあわせて実施する予定でいる。
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