2020 Fiscal Year Research-status Report
Philosophy of "collective intentionality" in technology
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18K18474
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
直江 清隆 東北大学, 文学研究科, 教授 (30312169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高浦 康有 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (00340216)
金光 秀和 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (50398989)
上杉 繁 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80350461)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 技術哲学 / 集団志向性 / 集団責任 / オープンイノベーション / 参加型デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、集団志向性の理論の構築な作業と、関連する集団責任に関わる理論的研究をおこなった。共通テーマは様なステークホルダー間で価値観、責任を共有することの可能性である。第一に、サステナビリティという価値観に関する国際比較調査を実施した。この調査により、価値観についての定量的な調査の効果と限界を認識することもでき、 今後の集団知の調査を進める上での知見を得ることもできた。また、第二に、、該当領域の技術者のみならず多様な関係者による、設計段階からの参加について既存の設計方法の拡張という点から検討した。設計段階からの参加が必要とされている一方、全ての技術において、多くの人間が関与することは時間的、金銭的コストの増加につながり、容易ではない.こうした状況を踏まえ、ポスト現象学、メディア論で扱われる人間と技術の関係性に着目し、設計の手がかりとして、人間ー技術の関係を分析するための枠組みについて検討し、現状の成果について発表し、議論した。第3に、集団責任の問題がある。多くの人やセクターが因果的に関与しながら、予見可能性などの点でどの人ないしセクターにも道徳的責任を帰し得ないようないわゆるmany hand問題について理論的検討を行った。同時に、そのケーススタディとしてJR西日本の新幹線台車亀裂問題(2017年)を題材にした研究をおこなった。現場の集団的傾向性としての、逸脱の常態化、正常性・確証バイアス等の課題を指摘し、集団責任の現実的問題について議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため国内及び海外の現地調査が先送りとなった。そのため、理論的な作業を中心とせざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き集団志向性に関する理論的、経験的研究を行う。昨年度予定しながらコロナウイルス感染蔓延により順延となっていたあったハウスメーカーなどの調査を通し、「認知者・使用者・設計者」間の協働関係、認知の相互補完関係を調査する。調査に当たっては研究倫理委員会の審査を経る。また、必要に応じて協力者を募る。また、参加型デザインにおける集団の志向性について、同様の問題に取り組むオランダおよびドイツの研究者とのオンラインでの会合を持ちの集団責任、役割責任、共有責任などの意味内容の解明をはかる。以上の内容で、可能なかぎり国内外の学会で報告する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、当初予定していた調査が出来なかった。本年度に実施する予定である。
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