2019 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルワーカー(社会福祉士)養成教育に対するエスノメソドロジー導入効果の研究
Project/Area Number |
18K18606
|
Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
藤田 徹 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (80238576)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠中 耕 神戸医療福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (70348126)
泉 啓 岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (20646426)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
Keywords | 「聴く」アプローチ / 「事実」の記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究費助成期間の2年目(平成31年度及び令和元年)の成果として、前年度の「社会福祉士養成」と「エスノメソドロジー」の理論的整理を踏まえて、実際の養成課程における「実習指導」講義を通したデータ調査とその分析を行ったことに求められる。特に、「相談援助実習」へ向けた現場経験に対する「聴く」アプローチに対する演習生の取り組みと、その記録に基づく、質的分析による結果を「社会福祉士養成教育における『相談援助演習』が賄うべき<専門能力>とは何か」(岩手県立大学社会福祉学部紀要第22巻)へまとめた。そこで得られた成果として、改めて、社会福祉士に求められる能力が、現場で展開する相談援助実践を「事実」として対象化(記録)できること、それが担保されるからこそ、その後に続く、「インテーク」「アセスメント」「プランニング」の妥当性が堅持できることが改めて確認された点に求められる。また同時に、ロールプレイによるアプローチの達成度が、現状の実習生(3年生)にとって難易度が高く、養成教育として段階的に積み上げるべき能力に対する課題を再確認できたことも挙げられる。 そして、この成果を踏まえることにより、ロールプレイによって提供される教材(今回のインタビュイーの設定と、その内容を事実として記録するフォーマット等)の在り方を、より実践現場である相談場面へ近似させる必要性を再確認し、特に「エスノメソドロジー」=<人々の方法>」のレベルに応じたインタビューテーマの提示と記録の取り方(記録内容の相互行為としての記述に関するレクチャー)を事前に教授することの必要性を理解することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度については、昨年度の「社会福祉士養成教育」への「エスノメソドロジー」の導入の効果について、相談援助演習に基づく調査・分析により得られた成果から、それらの養成教育を経て目指される実践現場のレベルで求められる「事実」に対する記録能力を、現役のソーシャルワーカーを対象に調査・分析を実施する。設定において、架空の相談援助場面のビデオ素材を作成し、それを視聴し、その内容を通常の「ケース」として記録を実施する。その内容から、ビデオ内容に対する記録の「忠実度」をはかり、現役ソーシャルワーカーの「事実」に対する記録に対する能力の実態把握を行う。 その上で、改めて養成教育における「相談援助演習」で賄うべき専門能力とそれを修得するために必要な教授方法の検討を行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの「社会福祉士養成教育」に対する「エスノメソドロジー」の導入効果について、理論的な整理と実際の養成課程における「相談援助演習」の教育指導の分析、さらには、養成教育が目指す実践現場のソーシャルワーカーが身につけている専門能力の実際と課題の整理によって、本課題は達成されるものと考えている。今後の取り組みとして、現状の社会福祉士の専門能力と、それを担保してきたこれまでの養成教育の在り方を踏まえ、改めて、これからの社会福祉士養成教育に求められる教授方法について、新たな提案を行うことを目指したい。
|
Causes of Carryover |
今年度は、これまで取り組んだ調査結果の整理・分析に関する物品費に予算を充当していきたい。特にノートパソコン、ビデオカメラ、ICレコーダー等の購入を検討したい。また、調査に協力いただいた被調査者」に対する謝礼とデータ整理作業等の人件費を考えている。
|
Research Products
(1 results)