2019 Fiscal Year Research-status Report
Global Impact of Island Women's Proactive Migration on Modern Society
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18K18612
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
小川 寿美子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (20244303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山里 絹子 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (00635576)
Fewell Norman 名桜大学, 国際学部, 教授 (20577994)
玉城 直美 沖縄キリスト教学院大学, 人文学部, 准教授 (60754322)
金 滋英 名桜大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90795949)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 女性 / 主体的移動 / ドメスティックワーカー / 島嶼間移動 / 市民活動 / 結婚 / リプロダクティブヘルス / 資本主義社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近現代に出生地から他国に主体的に移動した先駆的な女性に焦点を当てた社会学的研究である。例えば移民として沖縄から多くの女性が移動した際、その移動に主体性があったのか、移動するか否かを選択できる状況にあったのか、文化や歴史、政治や経済の時代の変遷による後押しがあったのか、教育や貧困、ジェンダーに起因する差別と関連があったのかについての分析を進めている。更に、近現代社会において沖縄の女性が住み慣れた土地を離れ、外の世界に向かったのは、他の島嶼地域にも普遍的な事象なのか、島嶼からの移動と大陸からの移動を比べそれぞれ必然性はあったのかを検証している。 令和元年度は、小川(代表者)は、アイルランドにて国際共同研究の可能性を探るため、メヌース大学の社会学者と歴史学者、トリニティ・カレッジのジェンダー学者と意見交換をした。またThe Irish Potato Famine Postersの主催者にインタビューし、19世紀の同国での飢饉と女性移民の関連性について情報収集を行った。そして日本アイルランド協会に入会し、論文(エッセイ)を投稿した。分担研究者のフィーウェルは、沖縄女性(今帰仁村、本部町)の移動に関してインタビューや情報収集を行い、原稿を執筆した(来年度出版予定)。山里は、研究の一手法であるオーラルヒストリーWSや輪読会に積極的に参加し、11月ハワイ州ホノルル開催のアメリカ研究学会にて本研究の成果を発表した。玉城は、海外渡航経験のある台湾の市民活動家(女性)にインタビューし台湾社会の民主主義運動現状の可視化に努めた。また所属大学にて同台湾女性とのシンポジウムを開催した。金は、新たに大洋州からの移動女性を研究対象とし、サモアからニュージーランドへ移住した母親へのインタビューを実施した。またオタゴ大学 Global Migration学会に参加し国際共同研究の可能性を探った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者(小川)の当該年度の研究計画が、アイルランドの大学との国際共同研究の実現、論文投稿、Otago大学での移民学会への参加であった。実際、Maynooth University とTrinity Collegeの社会学者・歴史学者・ジェンダー学者と本研究に関する意見交換を実施し、今後の研究協力関係を築くことができた。また論文投稿に関しては、日本アイルランド協会の会報に「19世紀におけるアイルランド人の移動についてー社会的背景からみた女性国際移動の動向」と題する文を掲載することができた。一方、オタゴ大学における移民学会への参加に関しては、分担研究者である金が、小川に代わって参加することができた。分担研究者のフェーウィルの研究計画は沖縄女性が結婚を機に諸外国に移動する事例の調査であり、実際に今帰仁村と本部町の女性の出移民の事例をインタビュー調査等をもとに原稿を執筆した。山里の研究計画は、アメリカ研究学会での成果発表であり、実際、ハワイにて開催された同学会において「Remembering the Battle of Saipan: The Life Story of an Okinawan Repatriate and Anti-military Activism in Okinawa」と題する研究を口頭発表を行った。玉城の研究計画は、台湾における人の移動と社会変革についてフィールド調査を実施することであり、実際台湾に2回出張し、留学経験のある女性の市民運動家を対象としたインタビューを実施した。同時に沖縄に同氏を招待し、学内シンポジウムを開催した。金の研究計画は、インドネシア人ドメスティックワーカーへのインタビューであったが、当該年度の始めにニュージーランドに移動したため、研究対象が、サモア人女性に変更した。またオタゴ大学における移民学会に参加し、学術交流を深めた。
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Strategy for Future Research Activity |
全ての研究者が、論文を執筆予定である。それぞれの仮題は以下のとおりである。小川は「近現代における社会的背景からみた女性の国際移民の動向について」、フィーウェルは「The Earl Grey Scheme: a Historical Account of Female Emigration from Ireland to Australia」、山里は「島嶼間の移動と主体形成:サイパンからの戦後引揚者女性のライフヒストリー」、玉城は「新移民ー台湾の留学経験女性が祖国に与える社会的インパクト」、金は「Intellectual Assets Gained by Domestic Worker Abroad」である。他に、平成26年度より名桜大学の基盤研究として蓄積してきた沖縄本島北部に焦点を当てた移民研究の知見を活かしつつ、一部、本研究の焦点である「沖縄女性移民」研究の成果として本の出版「やんばる世界を拓く」を予定している。
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Causes of Carryover |
ニュージーランドのオタゴ大学で開催された移民学会に沖縄から2名参加予定であったが、ニュージーランドに在住する分担研究者1名が代わって参加したため、出張による支出が大幅に減額となった(小川、フィーウェル)。更にインタビュー対象者が当初はインドネシア人であり、その目的でシンガポール国への出張を予定していたが、同対象者が在ニュージーランドのサモア人となり、出張による支出がなくなった(金)ことなどが主な理由である。
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Research Products
(3 results)