2020 Fiscal Year Research-status Report
算数・数学科における前提追究活動を促進する教材の開発原理の構築と検証
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18K18636
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小松 孝太郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (40578267)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 算数・数学 / 前提追究 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,(1)算数・数学科において前提追究活動を促進する教材の開発原理を構築すること,(2)開発した教材を小中学校で実践し,その結果を分析することにより,教材の開発原理の有効性を明らかにすることを目的としている。 本研究では,これまでに教材開発原理の設定およびその原理に基づく教材の開発と実践を行ってきた。本年度は,昨年度までに実践した小学校第5学年および中学校第3学年の授業の分析を行った。分析の結果,開発した教材の実践によって,意図した学習目標(解答の正誤は問題の前提に依存すること,そして一つの共通した答えを得るためには前提を明確にする必要があることの理解)を達成することができたことを明らかにした。このことから,児童生徒の前提追究活動を促進するためには,本研究で構築した以下の三つの教材開発原理が有効であることを明らかにした。第一の原理は,問題の前提を意図的に曖昧にすることにより,問題について児童生徒が無意識に異なった前提の下で考えることを誘発することである。第二は,それらの異なった前提によって,異なった答え(互いに矛盾しているように見えるが各々の前提に基づけばそれぞれ正しい)が生まれるようにすることである。第三は,矛盾した答えが問題上では可能であっても児童生徒が自ら考え出しそうにない場合は,そうした答えの存在に児童生徒が気づけるようにすることである。 上述の研究活動と並行して,日本数学教育学会等の各種学会に参加し,研究情報の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では,本年度に,国際学会での研究発表や海外共同研究者との研究討議を通じて,構築した教材開発原理の国際的汎用性を高める予定であったが,新型コロナウイルスの影響でそれを実現することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,国際学術誌での論文発表や海外共同研究者との研究討議を通じて,構築した教材開発原理の国際的汎用性を高めていく。また,実践した授業を教材開発原理とは異なる観点からも分析することで,児童生徒の学習や教師の指導について新たな知見を導出することを考えている。
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Causes of Carryover |
国際学会への参加や海外共同研究者との研究討議を次年度に行うことになり,それに伴う旅費が持ち越しとなったため。
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Research Products
(5 results)