2021 Fiscal Year Research-status Report
潜在保育士の保育士就労促進に対する職場の人間関係と社会的スキルトレーニングの効果
Project/Area Number |
18K18672
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Research Institution | Tokyo Future University |
Principal Investigator |
日向野 智子 東京未来大学, こども心理学部, 准教授 (20460040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯 友輝子 東京未来大学, モチベーション行動科学部, 教授 (00432435)
藤後 悦子 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (40460307)
角山 剛 東京未来大学, モチベーション行動科学部, 教授 (60160991)
高橋 一公 東京未来大学, モチベーション行動科学部, 教授 (60319093)
山極 和佳 東京未来大学, モチベーション行動科学部, 准教授 (90350446)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 潜在保育士 / 現職保育士 / 就労促進 / 職場の人間関係 / コミュニケーション / 社会的スキルトレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では潜在保育士の就労を促進する心理学的要因を明らかにするために、潜在保育士と現職保育士および保育士養成校の学生を対象とし、コミュニケーション能力が職場の人間関係に対する不安を低下させ、保育士ワーク・モチベーションを高め、潜在保育士の就労を促進するという仮説モデルを構築し、コミュニケーション能力の向上のための社会的スキル・トレーニング・プログラムの作成と検証を行うことが採択時の目的であった。 2021年度は、新型コロナウイルス感染症拡大のために実施できなかった2020年度計画を実施予定であったが、保育現場や保育実習における感染症対策の厳しさと疲弊する保育現場の現状から、2021年度についても計画の遂行を断念した。そのため、潜在保育士・現職保育士・保育士養成校に在学する保育士就労を目指す学生を対象に、コミュニケーション・スキル・トレーニングを実施し、その効果を検証することは叶わなかった。 新型コロナウイルス感染症により延期された国際心理学会(ICP2020)が2021年7月にオンライン開催され、「Examining the effectiveness of social skills training programs for nursery teachers.」を発表した(7月21日)。 過去に行った研究データを分析し、保育士のコミュニケーションスキルに焦点を当てた論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症が収束せず、研究者および研究参加者になり得る方々の双方において、緊急事態宣言の発出や出勤・登校制限、対面でのコミュニケーションの抑制など、研究推進における様々な弊害が生じた。 マスク着用により、顔面表情全体が見えない中でのコミュニケーションを余儀なくされていることから、当初のスキルトレーニング内容から、「対面」での実施や、「表情」認知に関する観点のスキルトレーニング・プログラムについては再検討せねばならず、研究実施は大幅に遅れている。 新型コロナウイルス感染症の影響がいつまで続くか分からないため、採択された研究計画の修正を検討し、コロナウイルス感染症の状況下でも、保育現場に負担をかけず、社会的スキルにかかわるコミュニケーションとワークモチベーションとの関連を探るべく、研究計画の見直しに着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
「対面」でのスキルトレーニング実施を予定していたが、感染症による状況を考慮し、ビデオ通話システム等を利用したオンライン・トレーニングや、オンデマンド教材を利用した個人学習によるトレーニングへの変更も検討中である。 マスクを着用した生活習慣は、新型コロナウイルス感染症が落ち着いた後も、インフルエンザウイルス等の感染症予防の観点から、保育現場では今後も常時マスク着用になること考えられうる。そのため、マスク未着用での表情認知・表情表出にとらわれず、マスク着用時におけるコミュニケーションの様相についても検討するべきかと考える。 保育現場においては、保育士本人、保育現場の保育士を含む職員、保護者および保育児のマスク着用や感染症対策に対し、価値観や認識、対策、実態等にずれが生じることもある。このようなずれをコミュニケーションにより効果的に解決することができるか否かは、コロナ禍における保育士のストレスやワーク・モチベーションに影響を及ぼすと考えられる。このような観点からの調査実施も検討している。 最終年度において、スキルトレーニングの効果検証を行う予定であったが、研究の大幅な遅れのために効果検証は限定的にしか実施できない恐れがある。コロナ禍におけるコミュニケーションの変容も視野にいれつつ、研究を実施する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、社会的トレーニングが実施できず、その後の調査実施をまだ行えていない。このための支出もされなかった。次年度、可能な範囲でスキルトレーニングを実施し、効果検証を行う。 また、コロナ禍の収束に向けて、保育現場では保育士や幼児のマスク着用の可否について判断が分かれるところである。この件について、保育士自身の価値観と保育施設や同僚、保護者などとの価値観がずれる可能性もある。そのずれに対し、どのように折り合いをつけていくかはコミュニケーションスキル次第であり、コミュニケーションのあり方が、保育職に対するワーク・モチベーションに影響することも考えられる。この件についても調査実施を検討している。 これらの研究実施につき、調査経費、人件費や謝金、資料や分析ソフトバージョンアップ費用を要する。
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