2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K18701
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹村 和久 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10212028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩滿 優美 北里大学, 医療系研究科, 教授 (00303769)
横田 正夫 日本大学, 文理学部, 教授 (20240195)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 描画 / 樹木画 / 画像解析 / 臨床心理学 / 投影法 / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,樹木画を描かせるバウムテスト(Bolander, 1977 高橋訳 1999; Koch, 1952 林・国吉・一谷訳 1970; Koch, 1957 岸本・中島・宮崎訳2010)や人物画(Goodenough, 1926)などの描画法を用いて描画を収集した。評定者の主観によらず,定量的に評定することを目的として,我々は以前から,描画を計算機に取り込み,画像データとして扱う方法を提案してきたが,行列を様々なパターンに分解する特異値分解の結果が,描画の大まかな特徴の再現に利用できることや,画像を空間周波数の観点から再構成するフーリエ変換の結果が,描画の水平方向への周期構造を表すこと,注目する要素以外を統制した模式的な樹木画に対し特異値分解やフーリエ解析を実施することで,注目する要素について画像解析結果から違いを読み取ることができることがわかった特異値分解,フーリエ変換を用いた樹木画の画像解析 画像としての見た目を保ったまま空間周波数の観点から画像を分解するウェーブレット変換および多重解像度解析が,統合失調症患者の描画の位置・濃さや描線の方向・太さを表すことを示した。これらの解析手法はいずれも描画を数値行列である画像として捉え,変換を施している。本研究では,これらの樹木画の定量的な評定をする手法を提案し,統合失調症患者と健常者に描画を描かせて検討を行った。これらの画像解析を行った描画研究の他にも定性的研究を行い,心理評価を行い、統合失調症患者や健常者の質問紙による心理状態の比較検討を行った。これらの知見を,国内外の学会で発表し,また,種々の学術論文や著作において発表を行った。また,分担者の横田正夫による統合失調症患者についての描画についての専門書に,横田,竹村,岩滿が執筆を行い,レビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の描画の検討を通じて,樹木画などの描画に対して我々の提案した画像解析手法を用いることで,描画の定量的な評定をすることができる可能性が示されたと考えられる。本研究では,提案した各画像解析手法を比較検討する際の対象者を統合失調症患者と健常者にしていただが,それぞれの描画を比較したことで,描画の塗りつぶしなど特定の表現や描線の方向,描画において用いられた用紙の範囲についての情報を,画像解析手法を用いることで抽出できる可能性が示された。また,質問紙調査の結果からは,肉眼で確認することは困難であるが,本研究で用いた画像解析手法を用いれば捉えられる描画形式上の特徴が存在することが示唆された。このような検討を通じて、当初予定していた研究の進展はおおむね順調であったと判断できる。また,当初予定していた書籍の発行なども現在印刷中であり,さらなる研究発表も必要ではあるが,研究の成果も一定程度出ていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,対象者によって,また樹木の表現のされ方によっては,本研究で例示したレベル 1 からレベル 4のウェーブレット変換や,特異値分解で得られた特異値のうち最大のものから 10 個の特異値および表現パターンを用いて復元した画像のみからでは十分な分析ができない可能性が考えられた。この点について,本研究において提案した手法の一般化を考える上では,画像解析結果から樹木画を復元するという観点からも,さらなる検討を重ねる必要がある。また,本研究の対象者は,統合失調症の陽性・陰性症状それぞれの程度や,罹患年数の長さが異なっていた。この点について,今後,対象者数を増やし,PANSS 得点と画像解析の特徴量との関連や,4 つの類型ごとに特有の特徴量が存在する可能性等について分析を加え,対象者の特性について検討を重ねていく必要がある。本研究 では,樹木画に対する従来の評定方法と,本研究において提案した画像解析手法による評定を対応づける形で検討してきたが,これらの点について,さらなる検討が必要である。また,本研究では画像解析手法を統合失調症患者の描画のみに対して実施した。今後は統 合失調症のみならず,他の精神疾患の患者や健常者が描いた樹木画についても同様に画像解析を実施し,それぞれの精神疾患における樹木画の画像解析の有用性を検討していくことが必要であると考えられる。,樹木画の評定は,一般的には熟練を要するものである。本研究で提案した手法およびその実施例は,現時点では十分に検討できていない点も数 多く存在しており,他の分析法(例えばファジィ推論や機械学習の手法など)も引き続き検討を重ねる必要がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナの問題などにより出張計画や調査等を使わず次年度になった。
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Remarks |
研究室のWEBを紹介した
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Research Products
(25 results)
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[Presentation] Prediction of choice by attention model: Time series analysis of eye-gaze behavior.2019
Author(s)
rakami, H., Watanabe, R., Kawasugi, K., Amano, M., & Takemura, K.
Organizer
Society for Judgment and Decision Making (SJDM), 2019年11月15-18日.
Int'l Joint Research
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