2018 Fiscal Year Research-status Report
超高エネルギー分解能X線分光が拓く新たな宇宙物質微量分析
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18K18794
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
満田 和久 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (80183961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 高明 九州大学, 基幹教育院, 教授 (40222195)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 超高エネルギー分解能X線分光 / 宇宙物質微量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画に従って,(1) 走査透過型電子顕微とTES型X線マイクロカロリメータ (STEM-TES) を用いたX線マイクロアナリシスにおいて電子線照射が試料に与えるダメージを実験的に調べる,(2) X線スペクトル解析に用いるSTEM-TESの光学系も考慮した応答関数の精度を高める,の2つを行なった。(1)では研究分担者が製作した標準試料の分析から,現状のシステムでは十分な統計精度のX線スペクトルを得ようとすると,無視できない試料へのダメージがあることがわかった。このため,TES検出器の使用可能な画素数を増やすことで電子線照射量を減らす検討を行なった。その結果,現在の冷凍機で画素数を増やすことができることがわかり,当初の計画にはなかったが,そのために必要となるSQUID(超伝導量子干渉計)を用いた極低温初段増幅器とそれを実装する基板を製作した。(2)については,パルス高さの低い側にでるテールのエネルギー依存性を中心に研究を進め,(1)の分析をその応答関数を用いて行なった。その成果を査読付き学術誌論文と学会発表により公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画は予定通り進んでいるが,電子線照射によるダメージを抑えるために,使用可能な検出器画素数を増やす必要があり,この部分に時間とリソースを投入する必要がでてきた。今年度,その一部として極低温初段増幅器基板を製作し,これを来年度冷凍機に組み込むために検出器ヘッドを改修する予定である。これによって,当初計画していた物質分析を,実施できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前項に記載した検出器ヘッドの改修を行った上で,まず,研究分担者が製作する複数の標準試料の分析を行い 5. 項に記載した(1)(2)の検討を再度行い,同時に,定量分析の解析手法の研究もすすめる。これらの成果をもとに,STEM-TESによる定量分析手法の確立をめざす。
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