2019 Fiscal Year Annual Research Report
Deterioration Index of Organic Surface Coating Materials for Concrete Structure
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18K18880
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高谷 哲 京都大学, 工学研究科, 助教 (40554209)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 表面被覆材 / ラマン分光 / 蛍光 / 光退色曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,アクリルウレタン樹脂,アクリルシリコン樹脂,塩化ビニル樹脂の3種類の樹脂に対して劣化促進試験を行い,劣化に伴う構造の変化,ラマンスペクトル上(入射光532nm)での蛍光強度の変化,定量的な劣化度評価における光退色曲線の利用可能性について検討を行った. その結果,アクリルウレタン樹脂では劣化に伴いエステル結合が切れることで蛍光が大きくなり,光退色はしにくくなることが確認できた. 一方で,アクリルシリコン樹脂ではキセノン照射0~1000hにかけては蛍光が減少したが,その後1000~5000hにかけて蛍光が大きくなることが確認された.これは劣化前のアクリル鎖の蛍光が大きいためであり,アクリル鎖が切れることで蛍光が減少し,その後-COOHが増加することにより蛍光が大きくなるためであると考えられる.光退色についてはアクリルウレタンと同様に劣化するに伴い光退色しにくくなることが確認された. 塩化ビニル樹脂は,含まれている顔料によっては初期の蛍光が大きくなるが,劣化するに伴い,Clが抜けポリエン化(-CH=CH-)することで蛍光が大きくなることが確認された.しかし,光退色についてはアクリルウレタンやアクリルシリコンと異なり,劣化に伴い光退色しやすくなることが確認された. いずれの材料においても劣化に伴い光退色曲線が一定の変化をすることから,定量的な劣化度評価に光退色曲線を用いることができると考えられる.しかし,光退色曲線の変化の仕方が材料によって異なるメカニズムについては明らかにすることができなかった.光を当て続けることによる蛍光物質の破壊の生じ方や,光を当てることで生じる蛍光を周囲の分子が吸収するかどうか,などの違いによる可能性もあると考えられる.
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