2019 Fiscal Year Annual Research Report
Ambient time-resolved x-ray spectroscopy to directly prove quantum effects on biological reactions
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18K19011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吹留 博一 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10342841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 巌 東京大学, 物性研究所, 准教授 (00343103)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | グラフェン / 積層 / ねじれ / 光励起 / キャリア・ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度、本研究の中核を成す窓材としてのグラフェンについて、その光励起状態ダイナミクスを精密に調べることができた。その結果、窓材としてのグラフェンの有効性を確認できた。それだけでなく、フェムト秒からピコ秒、ナノ秒のスケールにおいて、光励起されたグラフェンのキャリア・ダイナミクスが時間ドメインやそれを取り巻く界面によって大きく異なるようになることを初めて明らかにすることができた。この点は、これまで明らかにされてこなかった点であり、我々独自の研究成果である。新たな研究の萌芽になり得るものと考え、今後大きな研究の萌芽となることを期待して、挑戦的な研究を進めた。 その結果、予想外の研究を、代表者と分担者は得ることができた。すなわち、グラフェンの積層様式により、光照射のダイナミクスが大きく変化することを明らかにした。通常のBernal積層の場合、一層目と二層目の光励起キャリアのダイナミクスは同じである。しかし、30度ねじれて積層した二層グラフェンは準結晶となる。このとき、一層目と二層の光励起直後のダイナミクスが大きく異なるようになる。すなわち、一つの層はより負に、もう一つの層はより正に帯電するようになる。しばらく時間が経つと(10 ps程度)、一層目と二層目のグラフェンの光励起キャリアのダイナミクスは同じになる。 このことは、特に光励起下での生体分子のキャリア・ダイナミクスを調べるときに、摂動を与えることを可能にし、より多様な生体分子の挙動を調べることが可能となることを示すものである。
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