2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a circular dichroism measuring system with high sensitivity and high time-resolution and its application for creation of biofunctional materials
Project/Area Number |
18K19102
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 健彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20220957)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | 円二色性 / 時間分解 / 楕円偏光 / 高感度 / CDスペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
・高感度・ 高時間分解CDスペクトル測定装置を活用した生体機能材料開発: 昨年度の研究により構築した高感度・高時間分解能を有するCD測定システムを用い、キラルRu錯体により測定条件最適化ならびに市販CD測定装置との性能比較検討により概念実証実験に取り組み、比較可能な条件下での測定により、我々の開発した高感度・高時間分解能を有するCD測定装置は、約200倍感度ならびにS/Nの向上が確認された。 続いて、概念実証実験に成功したシステムを用い、二重鎖DNA(dsDNA)・テトラピリジルポルフィリン誘導体(TPyP)複合体形成系の極初期過程の動的相互作用挙動解析を検討し、生体機能制御材料開発への適用可能性について検討した。二重らせんDNAとTPyPは、1.インターカレーション、2.グルーブバインディング、3.サイドバインディングの3種類の複合体が報告されており、各種dsDNAとTPyPを種々の割合で混合し、UV・VisならびにCDスペクトルやNMRを用い、相互作用を詳細に検討した。種々条件下での検討を経て、TPyPがインターカレーションモードでdsDNAと相互作用している条件下、光照射を行い、光励起により誘起されるdsDNAとTPyP複合体構造変化を蛍光スペクトル、蛍光寿命測定により詳細に検討した。その結果を踏まえ、同条件下で本研究で構築した高感度・高時間分解CD測定装置を用いた観測に取り組んだ。種々検討を重ねた結果、光照射後のdsDNAからTPyPが解離し、基底状態に戻った後、dsDNAに再結合することを初めて見出した。この結果は、従来全く報告のない相互作用の極初期過程の有益な知見獲得を意味しており、今後癌の光線治療薬新規開発戦略構築などにつながる成果と確信している。
|