2019 Fiscal Year Research-status Report
環境振動を利用した新奇電流駆動型強誘電体発電の可能性とその原理の確立
Project/Area Number |
18K19126
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安井 伸太郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (40616687)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 強誘電体 / 圧電体 / 分極反転 / 発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的である、分極反転時に発生する電流を動力とする発電機構の開発の一環として、2年目はPZT以外における強誘電体の分極反転とc/aの関係性を明らかにするために様々な正方晶性を有する材料の作製とその分極反転測定を行った。取り扱った強誘電体材料は2013年度に発見したBi(Zn1/2Ti1/2)O3を母相にした正方晶ペロブスカイト型酸化物である。これらの材料の組成及び歪み(基板や膜厚によって)をチューニングして、それらの正方晶性(c/a)をコントロールした。主に組成によってc/aをコントロールすることを可能とし、その組成はxBi(Zn1/2Ti1/2)O3-yBi(Mg1/2Ti1/2)O3-zBiFeO3で表すことができる。zを1/3に固定することで、xとyの比率を変化させた結果、yを増加させるに従ってc/aは1.2から1.06まで減少させることに成功した。また、作製した様々なc/aを有する薄膜の分極反転はc/aが1.1以下の時に顕著に現れた。今まで様々なペロブスカイト型構造強誘電体材料を調査した結果、c/aが1.1を超えるもので分極反転を示した系は非常に少ない。これは分極反転に必要なエネルギーが材料を保持するエネルギーを超えるために、材料の破壊が先に起きるためであると考えられる。従って、環境による外場、ここでは応力を示すが、それによって分極反転を起こすためにはc/aができるだけ小さい方がよいが、小さすぎると反転電流が小さくなると予想されるために材料破壊が起きるギリギリのc/aにチューニングする必要性が求められると予想できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目は分極反転と材料の分極反転エネルギーに直結する値である正方晶性c/aの関係性について議論することができた。最終年度に様々な分極反転エネルギーを有する薄膜を用いて外場による分極反転とその外場の大きさの関係性について検討できるところまで研究が進行したために、当初計画した通り概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通りに予定通りに実験を進めていく。最終年度は外場(応力)により分極反転を試み、反転に必要なエネルギーと材料定数について定量的に議論する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に購入予定していた消耗品である単結晶基板について、当初予定していたよりも購入費が少なくすんだため。また、予定していた旅費の使用も不要になったため。使用計画として、延期された国際会議の旅費および試薬等の消耗品に使用する予定である。
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[Presentation] 金属-酸化物薄膜接合系におけるエネルギーバンドアライメント2019
Author(s)
狩野 旬, 押目 典宏, 廣瀬 哲, 上田 剛慈, 安井 伸太郎, 濵嵜 容丞, 伊藤 満, 三上 仁志, 池田 直, 藤井 達生, 柏原 浩大, Schneider Julien
Organizer
2019年第80回応用物理学会秋季学術講演会
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[Presentation] Sc置換GaFeO3単結晶の磁気特性2019
Author(s)
立山 昂輝, 太宰 卓朗, 安井 伸太郎, Jianding Yu, Yang Zhang, Hui Wang, Zhaoyang Xia, Jinghong Fang, 谷山 智康, 伊藤 満
Organizer
強的秩序とその操作に関する研究グループ第9回研究会 (若手夏の学校)
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[Presentation] 強誘電体BaTiO3薄膜の分極反転時におけるバンド傾斜変化2019
Author(s)
押目 典宏, 狩野 旬, 池永 英司, 安井 伸太郎, 日隈 聡士, 池田 直, 濵嵜 容丞, 安原 颯, 横谷 尚睦, 伊藤 満, 藤井 達生, 保井 晃, 大沢 仁志
Organizer
強的秩序とその操作に関する研究グループ第9回研究会 (若手夏の学校)
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[Presentation] k-Al2O3型 (Ga1-x/2Fe1-x/2)ScxO3単結晶の磁性と誘電性:(1)結晶構造と誘電性2019
Author(s)
立山 昂輝, 太宰 卓朗, 安井 伸太郎, Jianding Yu, Yang Zhang, Hui Wang, Zhaoyang Xia, Jinghong Fang, 符 徳勝, 谷山 智康, 伊藤 満
Organizer
日本物理学会2019年秋季大会
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[Presentation] k-Al2O3型 (Ga1-x/2Fe1-x/2)ScxO3単結晶の磁性と誘電性:(2)磁性2019
Author(s)
立山 昂輝, 太宰 卓朗, 安井 伸太郎, Jianding Yu, Yang Zhang, Hui Wang, Zhaoyang Xia, Jinghong Fang, 符 徳勝, 谷山 智康, 伊藤 満
Organizer
日本物理学会2019年秋季大会
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[Presentation] 酸化物に接合された金属薄膜への分子吸着挙動2019
Author(s)
狩野 旬, 押目 典宏, 廣瀬 哲, 上田 剛慈, 安井 伸太郎, 濵嵜 容丞, 伊藤 満, 三上 仁志, 池田 直, 藤井 達生, 柏原 浩大, Julien Schneider
Organizer
日本物理学会2019年秋季大会
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[Presentation] Kappa-almina-type Structured Multiferroics2019
Author(s)
Shintaro Yasui, Tsukasa Katayama, Yosuke Hamasaki, Takahisa Shiraishi, Akihiro Akama, Takenori Kiguchi, Ayako Konishi, Hiroki Moriwake, and Mitsuru Itoh
Organizer
International Conference on Materials and Systems for Sustainability 2019(ICMaSS 2019)
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Iron-based Ferroelectric Thin Films2019
Author(s)
Shintaro Yasui, Tsukasa Katayama, Yosuke Hamasaki, Takuya Osakabe, Takahisa Shiraishi, Akihiro Akama, Takenori Kiguchi, Ayako Konishi, Hiroki Moriwake, and Mitsuru Itoh
Organizer
The 4th International Symposium on Creation of Life Innovation Materials for Interdisciplinary and International Researcher Development (ILIM-4)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Skewed Core Level Atomic Orbitals in Ferroelectric BaTiO3 Induced by Electric Polarization2019
Author(s)
Jun Kano, Norihiro Oshime, Eiji Ikenaga, Shintaro Yasui, Yosuke Hamasaki, Sou Yasuhara, Satoshi Hinokuma, Naoshi Ikeda, Pierre- Eymeric Janolin, Jean-Michel Kiat, Mitsuru Itoh, Takayoshi Yokoya, Tatsuo Fujii, Akira Yasui, and Hitoshi Osawa
Organizer
8th International Conference on Hard X-Ray Photoelectron Spectroscopy(HAXPES 2019)
Int'l Joint Research
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[Book] 安井伸太郎、他2020
Author(s)
全固体電池の界面抵抗低減と作製プロセス、評価技術
Total Pages
490
Publisher
株式会社技術情報協会
ISBN
978-4-86104-780-0
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