2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the amyloid formation mechanism of cytochrome c using the laser trapping method
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18K19146
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
廣田 俊 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (90283457)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | タンパク質 / レーザートラッピング法 / 光圧 / アミロイド線維 / ドメインスワッピング / ジスルフィド結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
シトクロムc(cyt c)のループ領域のThr58をCysに置換したT58C変異体とそのジスルフィド架橋2量体を作製し、レーザートラッピングを行った。対物レンズで波長1064 nmの連続波レーザー光をT58C 2量体を含む重水溶液中に集光すると、集光点に数μm の凝集体が形成されることが顕微鏡観察により確認され、これまで行ってきた他のcyt c 2量体のレーザートラッピングの結果と類似していた。光圧により生成した凝集体にレーザー光を照射し続けると、凝集体が急激に大きくなり出し、共存させたチオフラビンT(ThT)による蛍光強度が著しく増大した。以上より、cyt cのT58C変異体の分子間ジスルフィド架橋2量体は光圧によってアミロイド線維化し、T58周りの構造を固定化しても、アミロイド線維が形成されることが示唆された。 cyt cのアミロイド線維形成機構に関する知見を得るため、ウマホロミオグロビン(holoMb)およびアポミオグロビン(apoMb)のレーザートラッピングを行った。いずれのタンパク質を含む溶液にトラッピングレーザーを数分間照射すると、レーザー集光点に凝集体が生成した。ThTを共存させたholoMbとapoMb溶液にレーザートラッピングを行うと、3段階の変化が観測された。最初の段階では、蛍光は生じず、凝集体は確認できなかった。第2段階では、蛍光強度は僅かに増加し、レーザー集光点に数μmサイズの凝集体が生成した。第3段階では、蛍光強度が著しく増大し、凝集体は急激に直径が30μmを超えて成長した。また、カバーガラス上に堆積させた凝集体を超音波処理した後TEM観察を行うと、cyt cの2量体同様、多数の線維構造とその束が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
cyt cのT58C変異体を作製し、大腸菌発現系を用いて変異体を発現した。T58C変異体を精製後、分子間ジスルフィド架橋し、T58C変異体の2量体を作製した。レーザートラッピングによるT58C変異体の2量体の凝集体形成過程を顕微鏡観察するとともに、チオフラビンTを共存させ蛍光観察を行うことができた。さらに、T58C変異体の2量体の凝集体の透過型電子顕微鏡観察を行い、アミロイド線維の形成を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで測定した野生型、G45C変異体、T58C変異体、A83C変異体、E104C変異体のデータをまとめるとともに、野生型および各変異型シトクロムcの凝集体の透過型電子顕微鏡像を精度よく観測し、これまでのデータをまとめ、論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
シトクロムcのアミロイド線維形成に予期せぬばらつきが見られた。研究遂行上、シトクロムcのアミロイド線維形成反応を正確に観測し、形成したアミロイド線維の形状の再現性を得る必要があり、再度、アミロイド線維形成反応を観測するとともに、アミロイド線維を作製し電子顕微鏡でその形状を確認する必要が生じたため。 アミロイド線維の形状変化の有無を透過型電子顕微鏡で調べるため、タンパク質の作製や精製、レーザーラッピング法などの消耗品費として使用する。
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