2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the amyloid formation mechanism of cytochrome c using the laser trapping method
Project/Area Number |
18K19146
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
廣田 俊 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (90283457)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
Keywords | タンパク質 / レーザートラッピング法 / 光圧 / ドメインスワッピング / ジスルフィド結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
シトクロムc(cyt c)のループ領域のGly45、Thr58またはAla83をCysに置換したG45C、T58C、A83C変異体を用いて、各変異体のジスルフィド架橋2量体を作製し、レーザートラッピングの実験を行った。 波長1064 nmの連続波レーザー光をG45CまたはT58C変異体のジスルフィド架橋2量体を含む重水溶液中に対物レンズで集光し、顕微鏡のステージを移動させてガラス基板上に凝集体を連続的に作製した。凝集体を超音波処理によってほどいた後、透過型電子顕微鏡で観察したところ、G45CおよびT58C変異体の凝集体において、幅数nmのアミロイド線維構造が確認された。以上より、cyt cのG45CおよびT58C変異体はE104C変異体同様、光圧によってアミロイド線維化することが分かった。 cyt cのアミロイド線維形成機構を解明するため、G45C、T58C、A83C、E104Cの4つのcyt c変異体のジスルフィド架橋2量体をレーザートラッピングにより捕捉し、溶液に共存させたチオフラビンT(ThT)の蛍光強度の時間変化を比較したところ、凝集体を形成するのに要する時間がT58C<G45C<E104C変異体の順に長くなり、A83C変異体の2量体溶液に共存させたThTは強い蛍光を示さなかった。cyt cの天然構造でループ構造を示すIle75-Lys87領域がβヘアピン構造に変化するcyt c変異体のX線結晶構造が報告されており、このループ領域に含まれる83番目のアミノ酸位置間でジスルフィド結合を形成し、周辺の構造柔軟性を制限すると、アミロイド線維形成が阻害されたことより、このループ領域がβヘアピン構造へ変化することがアミロイド線維形成に重要であることが示唆された。
|