2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19169
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
折田 和泉 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (70525964)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | メタノール資化性菌 / 代謝改変 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.メタノール中央代謝経路破壊株内での代替資化経路構築 本研究の実施前にMethylorubrum extorquens(Methylobacterium extorquens)のメタノール生育に必須なエチルマロニル-CoA経路上の酵素遺伝子を破壊した株を作製していた。本研究では、この破壊株内で代替となるC1化合物資化経路の鍵酵素遺伝子を発現した。その結果、無細胞抽出液に発現産物の酵素活性を検出したが、メタノール生育能は回復しなかった。この原因としてメタノール酸化能の低下が予想されたため、メタノール代謝の初発反応であるメタノールデヒドロゲナーゼの活性を測定したところ、エチルマロニル-CoA経路遺伝子を破壊した株ではメタノールデヒドロゲナーゼの活性が低下していることを示した。 2.包括的転写機構改変 研究実施計画に沿って、σ70をコードするrpoD遺伝子にランダム変異を導入することで包括的に代謝バランスを変化させる「包括的転写機構改変」を実施した。上記の代替資化経路の鍵酵素遺伝子とrpoD遺伝子をタンデムに挿入したプラスミドを作製することでこれらを共発現し、rpoD領域にランダム変異を導入した。ランダム変異導入後のプラスミドで形質転換したM. extorquensをメタノールを単一炭素源とする培地上でスクリーニングしたがこれまでのところメタノール生育能を示す変異株は得られていない。 3.ランタンイオン添加条件での培養 エチルマロニル-CoA経路破壊株においてメタノールデヒドロゲナーゼ活性が低下していたため、本菌が保持する希土類元素依存のメタノールデヒドロゲナーゼを機能発現させるために代替資化経路導入株をランタン添加条件で培養したが、メタノール生育は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の表現型を示す変異株の取得には至っていないものの、組換え株を順調に取得し、異種発現した遺伝子産物の活性も検出した。包括的転写機構改変やランタン添加条件での培養を試み、実施計画通りに研究を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から、メタノール中央代謝破壊株に導入した代替資化経路の鍵酵素は活性を有するものの、全体の経路として機能していないことが示された。そこで、当該代替資化経路を回す上で律速となっている反応を推定するために、これまでに構築した発現株のメタボローム解析を研究計画に追加する。メタボローム解析から推測された律速反応を強化するための代謝改変を行うことで代替資化経路の構築を目指す。また、包括的転写機構改変では、rpoDランダム変異導入株を実験室内進化実験に供することで、メタノール生育能が回復した株の取得を試みる。
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Causes of Carryover |
2018年度は作製した組換え株の培養や活性評価を主に行ったため、高価な試薬やキットを多く必要とする遺伝子操作や解析が当初の想定より少なかったこと、また使用機器の故障がなく修繕費が生じなかったことから未使用額が生じた。2019年度分と合わせて、組換え株の作製や培養、解析に必要な試薬やキット類の消耗品費として使用する。
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