2018 Fiscal Year Research-status Report
同一RNA分子によるプリオン蛋白質とAβ蛋白質の無毒化及び三者間のクロストーク
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18K19397
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片平 正人 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (70211844)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | アミロイドβ / プリオンタンパク質 / アプタマー |
Outline of Annual Research Achievements |
アミロイドβタンパク質は時間と共に繊維化するが、プリオンタンパク質がこの繊維化を阻害する事を、チオフラビンSを用いた蛍光のモニタリングに加えてTEMによって、まず示した。次にプリオンタンパク質によってアミロイドβタンパク質の繊維化が阻害されたところに、プリオンタンパク質に対するRNAアプタマーであるr(GGAGGAGGAGGA) (R12)を加えると、アミロイドβタンパク質の繊維化が生じる事を、上記2手法によって次に示した。以上の結果は、次のように解釈される。プリオンタンパク質は、アミロイドβタンパク質と複合体を形成する事によって、アミロイドβタンパク質が重合して繊維化する事を阻害する。ここにR12を加えると、R12はアミロイドβタンパク質:プリオンタンパク質複合体から、プリオンタンパク質複合体を引き抜く。これによって解放されたアミロイドβタンパク質が重合を開始し、最終的に繊維化する。これはR12が、アミロイドβタンパク質とプリオンタンパク質の相互作用を阻害する活性を有している事を、示している。従って、プリオンタンパク質がアミロイドβタンパク質の受容体として機能して、病因性のシグナルを細胞内に伝達する事を、R12が阻害できる可能性が示唆される。 また、プリオンタンパク質への親和性がR12よりさらに高いRNAアプタマーに関し、プリオンタンパク質の結合部位フラグメントとの複合体の構造をNMR法によって決定した。複合体の構造から、このアプタマーがいかにして高い親和性を発揮するのかが合理的に説明された。このアプタマーは、上記のアミロイドβタンパク質とプリオンタンパク質の相互作用を阻害する事、及び正常型プリオンタンパク質が異常型に遷移するのを阻害する事の双方において、R12よりさらに高い活性を有すると考えられ、抗アルツハイマー病及び抗プリオン病物質として活用できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
R12が、アミロイドβタンパク質とプリオンタンパク質の相互作用を阻害する活性を有している事を、蛍光法に加えてTEMによっても証明する事ができた。これにより、三者間のクロストークを示す事に成功した。また、R12よりさらに活性が高い新規アプタマーに関し、プリオンタンパク質の結合フラグメントとの複合体の構造を決定する事にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
三者間のクロストークを、海馬切片を用いた系によって証明し、RNAアプタマーの抗アルツハイマー病及び抗プリオン病物質としての有望性を示していく。
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Causes of Carryover |
蛍光実験及びTEMを用いた物理化学的な実験と、NMRを用いた構造解析が順調に進んだので、今年度はこれらに注力した。この結果、海馬切片等を用いた生化学的な実験の試行数が当初予定より減り、材料費が低く抑えられた。翌年度は生化学的な実験の材料費が逆に多く掛かるので、当該助成金は、これに用いる。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Development of RNA Aptamer That Has High Anti-prion Activity and Its Structural Basis2018
Author(s)
Mashima, M., Joon-Hwa, L., Kamatari, Y. O., Hayashi, T., Nishikawa, F., Nagata, T., Nishikawa, S., Kinoshita, M., Kuwata, K. and Katahira, M.
Organizer
Japan Society of Nucleic Acids Chemistry
Int'l Joint Research
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