2019 Fiscal Year Research-status Report
膜タンパク質の配向と脂質膜の非対称性を制御した固定化平面膜の開発とAFM観察
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18K19422
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
角野 歩 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 助教 (80717140)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 非対称脂質二分子膜 / 高速原子間力顕微鏡 / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜のように裏と表で異なる脂質組成からなる非対称脂質二分子膜を構築するには、水と油の界面に形成した脂質単分子膜を二枚はりあわせる、液滴接触法が有用だと考えている。ここで、張り合わせる二枚の脂質単分子膜の組成が同じ場合は対象膜になり、異なれば非対称膜になる。昨年度までに、原子間力顕微鏡観察に用いるマイカ基板およびガラス基板上において、液滴接触法による対象脂質二分子膜の調製条件を検討したが、脂質薄膜の調製の再現性が低く、基板上に均一に蛍光分子が分布するときとしないときがあった。今年度はマイクロマニピュレーターとマイクロインジェクターを用いて液滴の添加操作の精度を上げることを試みた。試料チェンバーの脇にマイクロマニピュレーターを設置し、内部に緩衝液を充填したガラスピペットを固定した。ガラスピペットには空圧マイクロインジェクターを接続し、ガラスピペット中の緩衝液を少量ずつ排出できるようにした。ガラスピペットはガラス管をレーザープラーによって加熱・切断することで作製し、切断後に先端系が30マイクロメートル程度になるようにマイクロフォージで加工した。マイクロマニピュレーターとマイクロインジェクターの導入前と比較して蛍光色素付き脂質の蛍光が基板上で均一な分布になりやすくなり、薄膜調製の再現性が向上したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非対称膜を観察するための探針走査型高速AFMの光学系が不安定で、安定稼働できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
薄膜の厚さを評価していないため、薄膜が本当に脂質二分子膜かどうかが未確認である。今後は蛍光顕微鏡上に設置したチップスキャン型高速原子間力顕微鏡を用いて膜厚を計測するなど、更なる評価が必要である。
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Causes of Carryover |
液滴接触膜の調製に関わる物品の選定よりも、探針走査型高速AFMの調整に時間がかかったため
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