2019 Fiscal Year Research-status Report
Crosstalk between mechanism of metabolic abnormalies in congenital disorders and cancer cell metabolism
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18K19504
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 洋子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80332500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 洋一 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 所長室, 研究所長 (00209602)
新堀 哲也 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40436134)
井上 晋一 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70622091) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | がん原遺伝子 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
コステロ症候群は特異的顔貌、心疾患、成長障害・低身長、低血糖などを示す先天異常症である。当研究室ではコステロ症候群で最も頻度の高いG12S変異を発現するノックインマウスを世界で初めて作製に成功した。HRAS変異マウス(コステロ症候群モデルマウス)では、通常の餌では体重増加は正常と同等であるが、高脂肪食投与では太りにくく、短命という表現型を持つ。これまでの解析にて、高脂肪食投与後HRAS変異マウスの肝臓の観察では、β酸化異常を疑わせる小滴性脂肪肝となっており、血中アシルカルニチン分析においてβ酸化異常を疑わせる長鎖アシルカルニチンの蓄積が認められた。 今年度は、HRAS変異マウスのエネルギー代謝異常を詳細に調べるため、これまでに明らかになった肝臓のミトコンドリアβ酸化経路の破綻以外に、解糖系、糖新生、脂質代謝、核酸、アミノ酸代謝経路に変化が生じていないか網羅的な解析を行った。その結果、HRAS変異マウスでは通常食摂取時においても、血糖値が低下するとともにβ酸化関連遺伝子の発現減少することが前回の実験同様に観察された。また解糖系の亢進、コレステロール合成の亢進、血糖値調節に働くホルモンであるグルカゴン上昇、グルカゴンが高いにも関わらず糖新生関連遺伝子の発現レベルが低下していることが新たに明らかになった。加えて24時間の絶食を行ったコントロールマウス、HRAS変異マウス間ではこれらエネルギー代謝の変化の差が認められなくなることが明らかになった。今回の研究で、高脂肪食以外の通常食摂取時にも血糖値の低下や、他の代謝関連遺伝子の発現レベルの変化がみられることが明らかになった。それらの変化が全体の表現型にどのような影響をもたらすのかさらに解析を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに高脂肪食投与時に太りにくく、肝臓におけるベータ酸化異常があることが明らかになっていたが、今回通常食であってもさまざまな代謝関連遺伝子の変化が観察され、これまでに注目されてこなかったHRASの変異をもつマウスにおける代謝異常について更なる知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらにHRAS変異マウスの絶食時、通常食時、高脂肪投与時の肝臓における代謝関連遺伝子や代謝経路の変化を解析することにより、マウスや患者で起こっている低血糖や、低体重などの表現型との関連を明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度は食事の条件を変化させたマウスの組織収集を行ったが、これまでに収集してきた組織などの解析が今年度では終了せず、来年度にその解析費用を用いる予定とした
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