2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞内代謝系を繋ぐp53分子による動脈硬化の統合的新解釈構築
Project/Area Number |
18K19523
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山口 宗一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (20325814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)
大山 陽子 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (20583470)
竹之内 和則 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (30646758)
橋口 照人 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70250917)
郡山 豊泰 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 臨床検査技師 (60723616)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | p53 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん抑制遺伝子p53分子が、血管の炎症の調節因子であるという仮説を、様々な代謝経路について解き明かしていく計画を立てている。主として、3つの大きな柱について解析を進めている。一つ目は、p53分子による糖代謝の制御である。これは、糖代謝関連分子の検索と糖鎖修飾分子の動態検討を行うこととする。2つ目は、p53分子の鉄代謝の制御である。鉄代謝は炎症と強く関連があることから、p53分子が鉄代謝関連分子に及ぼす影響を調べることで、生体内の微量元素の中でも重要かつ比較的量の多い鉄の血管内での新たな働きの解明につながることが期待される。3つ目は、p53分子とmTORシグナルの相互作用を検討することである。mTORシグナルは、細胞の生存、増殖のみならず、免疫との関連が近年注目されている。このシグナル経路の重要な分子の動態をp53分子の制御という観点から検討していく。 1.糖代謝とp53分子:糖鎖についての研究を進めている。協力者である原田らは、がん由来の糖鎖に対するレクチンを使用して、特定の糖蛋白を表面糖蛋白としてもつ細胞外小胞を選択的に捕捉する系を立ち上げることができた(現在、論文を準備中)。 2.鉄代謝とp53分子:血管内皮細胞の鉄代謝に影響を及ぼす分子についてp53との関連性を検討中である。 3.mTORとp53分子:mTORと感染症についての研究を、培養単球系細胞を用いて行った。その結果mTORシグナルが細菌感染に免疫反応に関係することを報告することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9カ月ほどの研究期間内に、3つのプロジェクトについて予備実験を含む序盤の実験を行って一定の結果を得られている。 1.糖代謝とp53分子:糖鎖についての研究を進めており、がん由来の糖鎖に対するレクチンを使用して、特定の糖蛋白を表面糖蛋白としてもつ細胞外小胞を選択的に捕捉する系が構築できたことは良好な進捗である。また、高血糖、低血糖の環境下での、p53分子の動態を培養血管内皮細胞で検討中である。 2.鉄代謝とp53分子:培養細胞を使った実験系で鉄代謝に関係のある分子について、p53分子との関連について予備実験として進めている。今後の実験の基礎となるデータを収集中である。 3.mTORとp53分子:mTORと感染症についての治験をある程度得ることができた。mTORシグナルが細菌感染のサイトカイン分泌能に影響することを報告し、今後はp53分子との関連について検討を加える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の1年間に、3つのプロジェクトについて上記予備実験の結果をもとに、次のような実験を進める予定である。 1.糖代謝とp53分子:血管系とくに、血管内皮細胞の表面膜蛋白の糖鎖構造を検討し、p53が糖鎖と関連があるかについて研究を進める。 2.鉄代謝とp53分子:鉄代謝に関連のあるIRP分子のみならず、p53シグナルとクロストークする分子などを検討する。 3.アミノ酸代謝とp53分子:単球系細胞(マクロファージ)において得られた知見を血管内皮細胞に応用して研究を進める。
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Research Products
(5 results)