2018 Fiscal Year Research-status Report
Generation of renal and hepatic EPO-producing cells from human iPSCs and their comparative characterization
Project/Area Number |
18K19542
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長船 健二 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (80502947)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | iPS細胞 / エリスロポエチン / 腎EPO産生細胞 / 分化誘導 / 腎性貧血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦において、慢性腎臓病 (chronic kidney disease; CKD) の進行による末期腎不全にて透析療法を受けている患者数は33万人以上、透析療法にかかる医療費は年間1兆5,000億円を超え、腎疾患は医学的のみならず医療経済的にも大きな問題を生じている。現在、腎不全に合併する腎性貧血に対して遺伝子組換えヒトエリスロポエチン (EPO) 製剤が使用されており、貧血の改善をはじめとして顕著な治療効果をあげている。しかし、貧血の生理的なコントロールは依然として困難であると同時に、EPO製剤投与の費用は全透析医療費の約10%であり、透析医療費の高騰に拍車をかけており、腎性貧血に対する治療の改善が必要とされている。 本研究では、未確立であるヒトiPS細胞から成体腎臓内に存在する赤血球系造血因子であるEPOの産生細胞を分化誘導する方法を開発する。そして、申請者らが既に確立している方法によってヒトiPS細胞から作製される胎児肝臓内のEPO産生細胞との性状の比較解析を行う。具体的には、シングルセル解析による両細胞の遺伝子発現、EPO産生の主要な制御因子である低酸素、低酸素誘発因子(HIF)、HIFの安定化剤であり新規の腎性貧血治療薬として開発中のプロリン水酸化酵素(PHD)阻害剤に対する反応性、in vitroおよびin vivoでの造血誘導能などを比較解析し、その類似性と差異を明らかにする。 H30年度には、CRISPR/Cas9システムを用いてEPOに対するレポーターヒトiPS細胞株を樹立するために、ターゲッティングベクターの作製を完了した。また、ヒトiPS細胞から腎EPO産生細胞への分化誘導法の開発のために、申請者らが一部成功しているヒトiPS細胞からFOXD1陽性腎間質前駆細胞への分化誘導法の改良を行った。さらに、Foxd1-GFPレポーターマウスを導入し、フローサイトメトリーを用いてそのマウスよりFoxd1陽性腎間質前駆細胞の単離を行い、腎EPO細胞への分化を誘導する培養系の検討を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1) EPOに対するレポーターヒトiPS細胞株の樹立 CRISPR/Cas9システムを用いてEPO遺伝子座に緑色蛍光蛋白質(GFP)遺伝子を相同組み換えにて導入したヒトiPS細胞株を樹立する。本研究開始時に作製を完了していたターゲッティングベクターに問題が判明し、本年度に再度ターゲッティングベクターの作り直しを行い完成させた。現在、複数の候補gRNAを設計し、相同組換えを起こすための条件検討を行っている。ターゲッティングベクターの作り直しを要したため、やや遅れている。 (2) 腎EPO産生細胞の分化誘導 申請者らは、独自のヒトiPS細胞からネフロン前駆細胞への分化誘導法を改変することにより、FOXD1陽性腎間質前駆細胞の作製に一部成功している。本年度は、本分化誘導法をさらに改良することによって、他の腎間質前駆細胞マーカーであるTBX18, PBX1などが発現する培養条件を検討した。また、Foxd1-GFPレポーターマウスを導入し、マウス胎仔からフローサイトメトリーにてFoxd1陽性腎間質前駆細胞を単離し、申請者らが一部成功している腎EPO産生細胞に誘導する培養条件を改良する条件検討を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
EPO-GFPレポーターヒトiPS細胞株樹立の完了を目指す。また、ヒトiPS細胞からFOXD1陽性腎間質前駆細胞への分化誘導法とFoxd1陽性マウス腎間質前駆細胞から腎EPO産生細胞への分化誘導法を改良した後に組み合わせ、ヒトiPS細胞から腎EPO産生細胞への分化誘導法を確立する。その後、申請者らが既に確立しているヒトiPS細胞から肝EPO産生細胞への分化誘導法と本研究で確立する腎EPO産生細胞へ分化誘導法をEPO-GFPレポーターヒトiPS細胞株に適用することによって、肝および腎EPO産生細胞を分化誘導の後に、フローサイトメトリーによる単離を行い、シングルセルRNA-sequencingによる遺伝子発現解析を行う。また、申請者らが既に確立しているアッセイを用いて、HIF, PHDサブタイプの発現レベル、低酸素やPHD阻害剤への反応性、in vitroのヒト臍帯血由来CD34陽性造血前駆細胞に対する赤芽球系誘導能、腎性貧血モデルマウスへの移植による治療効果などを比較解析する。
|
Research Products
(16 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Human pluripotent stem cell-derived erythropoietin-producing cells improve renal anemia in mice2018
Author(s)
Hirofumi Hitomi1,2,3, Tomoko Kasahara1, Naoko Katagiri1, Azusa Hoshina1, Shin-Ichi Mae1, Maki Kotaka1, Takafumi Toyohara1, Asadur Rahman2, Daisuke Nakano2, Akira Niwa3, Megumu K. Saito3, Tatsutoshi Nakahata3, Akira Nishiyama2, Kenji Osafune1
Organizer
ISSCR 2018 Annual Meeting
Int'l Joint Research
-
-
-