2018 Fiscal Year Research-status Report
軟骨細胞系譜における分化段階特異的翻訳制御機構の解明
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18K19614
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金 永輝 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90620344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸口田 淳也 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (40273502)
吉富 啓之 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 准教授 (50402920)
齊藤 博英 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (20423014)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 分化段階特異的 / 翻訳制御 / 軟骨分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAレベルと蛋白レベルの解析結果の相違を理解する上で、翻訳制御機構の役割が注目されており、普遍的な現象と考えられていた翻訳が細胞特異的あるいは遺伝子特異的な制御を受けている可能性が明らかになりつつある。本研究では、多能性幹細胞から軟骨細胞までの分化誘導実験系のアドバンテージを生かして、各分化段階の翻訳制御を調べることで、軟骨分化段階特異的な翻訳制御を解明することを目的とする。2018年度は下記の成果を得た。 1.段階的分化誘導:ヒトiPS細胞から神経堤細胞を経由する誘導法を用いて、間葉系幹細胞を効率よく誘導した。さらに増殖因子の種類と濃度を検討し、比較的に短時間で軟骨細胞に分化できる実験系を独自に開発した。この軟骨分化誘導法を用いることで、軟骨様結節の形成を経時的に観察することができた。従来の方法とは異なり、間葉系幹細胞の単層培養でおこなうため、軟骨分化誘導段階でsiRNAノックダウン、免疫沈降など分子生物学実験が可能になった。 2.翻訳制御の関与:軟骨分化誘導段階において、siRNAによるノックダウン実験を行った。翻訳制御に関わる特定因子をノックダウンさせることにより、軟骨様結節の形成が抑制されると共に、軟骨関連遺伝子の発現も低下した。この結果から、翻訳制御が軟骨分化に重要な役割をになうことを検証した。 3.翻訳制御因子に結合するRNAの回収:今回注目した翻訳制御因子に対する抗体を用いてRNA免疫沈降(RIP)を行い、RIP-RNAの回収に成功した。 4.翻訳制御を受ける候補mRNAの同定:RIP-RNAと全RNAを次世代シークエンシングにより分析し、全RNAに比べて翻訳制御因子に結合が増加したmRNAを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
軟骨分化特異的翻訳制御を解析するための分化誘導法の開発、さらに翻訳制御の軟骨分化への関与およびRNA免疫沈降法による翻訳制御因子に結合するRNAの回収に成功しており、計画通り順調に経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、前年度に引き続き、同定された候補遺伝子の蛋白レベルでの発現を解析し、RNAレベルではなく、翻訳レベルで制御されることを確認する。さらに、翻訳制御が確認できた遺伝子に対するsiRNAを用いて、これらの遺伝子の軟骨分化過程における機能的意義を検証する。その上、遺伝子特異的な翻訳調節機構を解明するために、これらの遺伝子のmRNAの非翻訳領域の配列およびステムループ構造を解析し、共通性がある配列もしくはステムループをパイシストロン発現ベクターに挿入し、異なる分化段階の細胞を用いて分化段階特異的に翻訳が亢進されていることを確認する。
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Causes of Carryover |
購入を必要とする消耗品の供給が、研究費使用が可能な年度内に困難であったため、購入を平成31年4月以降に延期し、そのための該当費用を平成31年度として請求した。 昨年度末に購入予定であった本研究を遂行するための試薬を予定通り購入し、研究を遂行する。
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Research Products
(1 results)