2020 Fiscal Year Research-status Report
細菌はがんを起こすのか? 代謝を指標とした「細胞-細菌叢インタラクション」の解明
Project/Area Number |
18K19629
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 信博 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60183852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲尾 純平 東北大学, 歯学研究科, 講師 (20400260)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞代謝 / 代謝阻害 / ジンジバリス菌 / ジンジパイン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度の研究によって判明した、Porphyromonas gingivalis(Pg)の持つ正常上皮細胞(HaCaTなど)の細胞代謝(グルコース代謝)に及ぼす細菌因子の同定を試みた。細菌種として、Pg標準株(ATCC 33277)、及びそのジンジパイン欠損株(KDP136)を用いた。それぞれ細菌を通法によって培養し、(1) 培養上清、(2) 培養上清を熱処理(80℃、15分間)したもの、及び(3)培養上清から分子フィルターによって分子量5000 Da以上の分子を除去したものの3種類の試料を調整した。これらの試料を、細菌培養用培地をコントロールとして、正常上皮細胞と共存させ、pHスタットを用いたリアルタイム代謝測定システムを用いて細胞代謝活性(グルコース代謝活性)への影響を定量測定した。 その結果、(2) 培養上清を80℃、15分間熱処理をしたもの、及び(3)培養上清から分子量5000 Da以上を除去したものは、ジンジパイン活性を失うとともに、細胞のグルコース代謝活性への阻害作用を失っていた。一方、ジンジパイン欠損株にはジンジパイン活性は無く、また、細胞のグルコース代謝活性への阻害作用を殆ど示さなかった。 これらの結果から、Pgの持つジンジパインが細胞のグルコース代謝能を阻害するものと考えられた。Pgジンジパインはトリプシン様タンパク分解酵素であることが知られているが、市販のトリプシンはこのような阻害作用は示さなかったことから、Pgジンジパインに特異的な作用と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症のため、必要な試薬の到着が大幅に遅れたこと、また、大学の実験施設の使用が制限されたことにより、研究の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Pgジンジパインによる細胞グルコース代謝阻害作用のメカニズムを明らかにするとともに、がん化促進に関与していると考えられているFusobacteium nucleatumの作用を、同様の方法を用いて検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大のため、必要な試薬の到着が大幅に遅れたこと、及び大学の実験施設の使用が制限されたことから、研究の進捗がやや遅れたため。次年度は本研究計画を完遂し、各種学会及び学術論文にて成果を発表する。
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Research Products
(19 results)
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[Presentation] Profiling of Microbiota of Baby-Drinks after Drinking with Artificial Nipples2020
Author(s)
Wakui A, Sano H, Kawachi M, Masuda N, Maruyama S, Washio J, Abiko Y, Mayanagi G, Yamaki K, Takahashi N, Okada Y, Sato T
Organizer
第62回歯科基礎医学会学術大会
Invited
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