2019 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of a novel dissemination route for development of therapeutic strategies against bacterial meningitis
Project/Area Number |
18K19643
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川端 重忠 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50273694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 匡宣 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (90444497)
住友 倫子 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (50423421)
山口 雅也 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (00714536)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 肺炎球菌 / 細菌性髄膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌性髄膜炎は,致死率が約 20% に至る予後不良の感染性神経疾患である.口腔鼻咽頭粘膜に定着する細菌が血流を介して髄腔内に到達し,脳組織障害を惹き起こすと推察されている.しかし,上気道粘膜から血流中への細菌の伝播を決定づける因子や物理バリアである血液脳関門を破綻させる分子メカニズムは不明である.本研究では,細菌性髄膜炎の予後不良因子である肺炎球菌をモデル細菌として使用し,鼻粘膜に定着した細菌が嗅覚経路を介して脳内に到達するメカニズムをマウス感染モデルにより検証した. 中耳炎由来の肺炎球菌 EF3030 株 (血清型19F) をマウス鼻腔内に感染させ,菌血症や重症肺炎を伴わない肺炎球菌性髄膜炎マウスモデルを構築した.本マウス感染モデルでは,経鼻感染させた肺炎球菌が脳の前頭部 (嗅球) から小脳に向かって侵入することを組織中の菌数測定および病理組織解析により確認した.また,EF3030 株を親株として,細胞溶解毒素 ニューモリシン (PLY) 欠失株を作製した.肺炎球菌の嗅球,大脳,および小脳への侵入能は,PLYの欠失により著しく低下したが,鼻粘膜上皮への定着能は野生株と同等であった.さらに,PLYの組換え体を経鼻投与したマウスにPLY欠失株を感染させた結果,野生株と同等程度の脳への伝播能を示した. 以上の結果から,鼻粘膜上皮に定着した肺炎球菌は,PLYの細胞傷害作用により鼻粘膜バリア透過性を亢進させ,嗅覚経路を介して脳内へ到達することが示唆された.
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Research Products
(35 results)