2018 Fiscal Year Research-status Report
新規骨親和性ナノ粒子の開発とがん骨転移特異的創薬への展開
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18K19656
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70322170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | がん / 骨転移 / 骨親和性ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでの研究で、ポリエチレンフォスフェート(PEP)が、①高い生体適合性と生分解性を有すること、②ビスフォスフォネートよりも優れたヒドロキシアパタイト(HA)に対する親和性を有することを明らかにしている(Iwasaki et al. J Biomater Sci Polym Ed, 2013)。この結果をもとに研究計画初年度である平成30年度は、骨親和性を有するナノ粒子として期待される両親媒性PEPを付加したナノ粒子を作成し、in vitroおよびin vivoにて、その性状解析を行った。その際、ポリエチレングリコール(PEG)を付加したナノ粒子を比較対象として用いた。 1. PEPナノ粒子の生体適合性: ①溶血試験の結果、PEPナノ粒子による溶血はHank’s balanced salt solution(HBSS)と同程度であった。②骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1を用いた細胞毒性試験でPEPナノ粒子は毒性を示さなかった。以上の結果から、PEPナノ粒子が高い生体適合性を有することが示唆された。 2. PEPナノ粒子の骨親和性: 牛骨スライスに対する吸着について、走査型電子顕微鏡および定量解析を行ったところ、PEPナノ粒子はPEGナノ粒子と比較してより多くの粒子の吸着が認められ、HAに対する高い親和性が確認された。 3. PEPナノ粒子の生体内動態: 発光特性を有する量子ドットを含むPEPナノ粒子をマウスに静注し、24時間後に観察したところ、肝臓や脾臓への集積が認められる一方、骨組織での局在はわずかであった。この結果から、PEPナノ粒子が網内系細胞により補足されることにより、骨への到達が阻害されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、交付申請書に記載した研究実施計画に沿って実験を行い、計画の目標はほぼ達成されたと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の検討で、PEPナノ粒子が高い骨親和性を有する一方で、生体内では網内系細胞による補足により骨に到達することが難しいことが示されたことから、平成31年度は、網内系細胞による補足抑制作用が期待される2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)とブチルメタクリレート(BMA)の共重合体であるpoly(MPC-co-BMA)(PMB)を付加したPMB-PEPナノ粒子を作成し、①マクロファージへの取り込み、②骨親和性、③生体内動態、④皮下腫瘍への局在についてin vitroおよびin vivoにて解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、ほぼ予定通りに実験を行い、それに必要な消耗品の購入を中心とした支出を行ったが、割引等のため端数程度の繰越金が生じた。平成31年度の研究に必要な消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(13 results)