2018 Fiscal Year Research-status Report
水死体の鑑別診断に簡便・迅速に対応するための新規スクリーニング検査法の開発
Project/Area Number |
18K19687
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
園田 愛 宮崎大学, 医学部, 助手 (10762122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿崎 英二 宮崎大学, 医学部, 准教授 (70284833)
新川 慶明 宮崎大学, 医学部, 助教 (40625836)
湯川 修弘 宮崎大学, 医学部, 教授 (30240154)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 法医学 / 溺死の診断 / 水棲細菌 / LAMP法 / DNA抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで私たちは水棲細菌を最も簡便に検出することを目指して2つのPrimerセット(淡水性・海水性)によるLAMP法を開発し,溺死の補助診断検査として実務利用してきた.しかし血液や組織からのDNA抽出操作に手間や時間を要した.そこで,抽出から検出までをトータルで考え,最も少ない労力で検査を行うためにその工程を見直した.検査試料からのDNA抽出にはQIAamp DNA Mini Kit (QIAGEN)を用いた.本キットは作業工程が少なく,世界で広く用いられ客観性を得やすいことに加えて, 核酸自動抽出装置 (QIAcube)を用いてそのまま自動化できる.また本機はローエンドタイプであり,マニュアル抽出での人件費 (時間・労力)を考えると決して高額ではなく導入し易い.一方, 検査試料は肺組織と血液を対象とし,血液が採取できない場合に腎臓や肝臓を用いた.但し,本キットは組織試料と血液とで抽出方法が異なり,別々のプログラムを必要とする.そこで,血液試料に合わせて同時に抽出を行うために,フィンガーマッシャー (SARSTEDT)を利用し液体として粗抽出液 (圧搾液)を得ることにした.つまり,軟性チューブに組織を入れて指で押し潰し,フィルター付キャップを通して圧搾液を回収する.これにより血液と共に機器にかけることができた.通常,水棲微生物は肺から血管を介して全身に分布し血管内で存在ないし増殖しているため,圧搾液と共に多くは組織から流れでるはずである.実際に,この手法を実施し,従来の珪藻検査と比べても高い陽性率が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究成果から,これまでよりもはるかに少ない労力で水棲細菌の検出が行えるようになった。つまり,労力としては組織をチューブに入れて指ですり潰し,その200 μLを機器にかけ,得られたDNA溶液のうち2 μLをLAMP反応液に混合し結果を待つのみであり,非常に簡便となった.以上のようにこれまでの問題点を大いに改善でき,今後の進展に繋がる十分な成果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
現場から採取された環境水(海,河川,湖沼など)について,水棲細菌を検出するには多量の水を採取しそれを安定的に保存する必要があり実務での実施には労力的にも予算的にも容易ではない.そこで今後,本検査法について引き続き実務レベルでの有効性を確認していくと共に,現場水からの水棲細菌の検出方法については改善を検討していく.さらに,LAMP法を用いて珪藻類を検出するための検査法も検討し,より守備範囲の広い方法へと発展させて行きたい.
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Causes of Carryover |
人手不足により解剖・検査業務等に従事する時間が増え次年度使用が生じたが,その額は8万円以下(全体の5%)であり,これらは次年度に購入が必要となる試薬などの物品費(Loopamp DNA増幅試薬キット,Loopamp反応チューブ,Plant DNA Isolation Reagentなど)の一部にあてる予定である.
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