2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of new screening test for determination of death by fresh and marine water drowning
Project/Area Number |
18K19687
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
園田 愛 宮崎大学, 医学部, 助手 (10762122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿崎 英二 宮崎大学, 医学部, 准教授 (70284833)
新川 慶明 宮崎大学, 医学部, 助教 (40625836)
湯川 修弘 宮崎大学, 医学部, 教授 (30240154)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 法医学 / 溺死の診断 / 水棲細菌 / LAMP法 / DNA抽出法 / 環境水 |
Outline of Annual Research Achievements |
警察庁の統計において犯罪を見逃した事案の中で溺死に関連するものが数多く報告されている。水辺で発見されるご遺体の死因は一般に溺死である場合が殆どであるが,実際には溺死の確実な診断は必ずしも容易ではない。それは溺死の際にみられる泡沫や肺水腫などの特徴的な解剖所見は,絞頚や扼頚,薬毒物中毒,頭部外傷などが係わる場合にもみられるためである。近年,先進国では死後CT検査が強力な診断ツールとなったが,例えば肺水腫の水が外因性(川や海)であるのか,あるいは内因性(血漿)であるのか,その確実な診断も容易ではない。一方,解剖所見以外に溺死を診断するための検査として,珪藻を指標としたプランクトン検査があるが,検出感度や特異性が十分でないことに加えて検査方法も危険で煩雑なことなど問題も多い。そこで本研究ではまず珪藻よりも小さく性質の異なる水中の細菌に着目し,LAMP法を用いた新しい検査方法の開発に取り組んだ。ただし,現在の法医学分野における人手不足の現状を考慮し,試料採取から判定まで可能な限り簡便・迅速かつ安価に行えるようなプロトコールの確立を目指し,全行程を詳細に検討した。また手動でも自動化装置を用いてもどちらでも行えるように方法をデザインした。さらに他の研究者が本検査法を再現し有効性を検証できるように,使用する試薬やキット類,機器類は世界で広く汎用されている一般的なものを採用した。現在,本検査法は当教室において実務検査として実施し,現時点で解剖によって得られた所見やその他の検査(死後CT検査,壊機法による珪藻検査,生化学検査,薬毒物検査),現場環境,警察の捜査結果等との矛盾はなく,簡便・迅速かつ安価に行える検査として活用できることが示された。また,従来の珪藻検査と比較して,肺以外の臓器や血液における陽性率は顕著に高く優れていることも示された。今後,これまでの研究結果をまとめ国際誌に発表する。
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