2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19690
|
Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
藤田 尚 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (40278007)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 珠織 (藤澤珠織) 青森中央学院大学, 看護学部, 講師 (70595694)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | 看護の起源 / 感染症の東アジアへの移入 / 感染症ルート / 古病理学 / 古衛生学 / ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
採択の内定が6月30日付で、そこからのスタートとなったことから研究の進捗に関しては、60%程度と自己評価している。 研究実績としては、まだ公式に発表しているものは無いが、2019年5月23日からの日韓古病理学フォーラムで、モンゴル国で取得したデータを使用した発表を行うほか、2019年度は関連する研究発表、論文発表を積極的に行っていく。 研究計画として、当初訪問する予定だった国内の研究機関は、これまでに古病理学の研究者がほとんどの骨を調査していることから、海外を優先した調査を優先することとし、モンゴル国にのべ3回(研究代表者、研究分担者による)訪問し、着実なデータを集積しつつある。 海外調査は互いの信頼関係と、ギブアンドテイクの関係を構築することが、経験上最も優先すべきことで、本研究推進者、即ち研究代表者である日本国研究者の学術的利益を最優先するのは当然としても、資料の調査許可や相手国が、現地でのレントゲン撮影など、可能な研究協力は惜しみなくしてくれていることから、調査対象国の研究者も研究上の利益をシェアできる構造を作らねばならない。初年度の研究計画は若干遅れている感があるものの、トラブルにならないような研究路線作りには成功していると考えられ、2019年度から研究計画遂行及び研究実績の量産が見込めると予想している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外研究の対象国である、カンボジアについて、文化芸術省の高官と何度か連絡を取って、訪問時期を設定しようとしたが、先方も忙しく、研究代表者も年度末の慌ただしい状況下で、訪問が実現していない。カンボジア国については、考古学的人類学的調査の場合、MOUを締結する必要があり、その準備は整っている。2019年度は、早めにカンボジア国の担当者と連携を密にし、早期に調査ができるようにしていく。 一方、モンゴル国の方は、モンゴル国立大学の古人骨資料調査を開始することができ、貴重な資料と思われるものも見つけることができた。そのため、3月の年度末ではあったが、再度、モンゴル国立大学を訪問し、医科大学でのレントゲン撮影を行った。また、これら資料から、Ancient DNAを抽出し、より確実な鑑別診断を行うため、モンゴル国から日本国への資料の郵送に関して、両国外務省、税関当局と交渉し、資料が研究の為に両国間を行き来できるように努力した。 海外調査は、どのような分野でも同様かと思うが、研究を遂行する立場の我々日本人研究者と先方のDepartmentや大学の事情、関係省庁との連絡や許可申請などに、多くの労力を取られる。しかし、それは乗り越えていかねばならない障壁であって、着実に一つ一つの問題を粘り強く解決していくしかないのである。 カンボジア国との調査許可の交渉やモンゴル国立大学およびこれらの国々の関係省庁の許可を得ることに多くの時間とスケジュールの調整が必要であることから、時間を要している現状がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、まず第1に、特異的感染症の南回りルート、北回りルートを解明するためのカンボジア国での調査に早急に着手するため、同国の文化芸術省との早期のMOUの締結に駒を進める。 北回りルートの調査国として設定したモンゴル国立大学では、順調超な調査が継続的に行われていくと推測されるが、対応する教授の一存だけでは決定できない事項もある。また、他国からも研究者が滞在研究を行っていることから、研究面での競合が生じる可能性もあり、早急に頻回の調査実施が必要である。 また、昨今の本領域における傾向として、炎症を起こす起因菌の特定、即ち古代の細菌を抽出し、そのゲノムを解析することが、第一線の研究では求められる始めている。肉眼での鑑別に加えて、ゲノムからのより確定的な鑑別診断を行うことが、ハイレベルジャーナルへの論文掲載に求められるようになってきていると言える。そのため、これは、という標本に関しては、日本へ搬送し、古代のゲノム解析を行う研究体制を作り上げた。次世代シークエンサーによる解析には、設備面がその解析に十分耐えうる施設が必要で(日本では数か所)、かつ経費も相応に必要である。この点については、国内での調査対象研究機関訪問を留保し、モンゴル国およびカンボジア国の調査を優先的に進めていく方針を取る。また、看護・介護の歴史的復元の研究については、看護学史および現代の臨床経験に長けた研究者を分担者に加えることを考慮中である。
|
Causes of Carryover |
第1に、海外での研究が主体であるため、相手国の都合および研究代表者及び分担者の本務先業務との都合で、調査旅費が十分に消化しきれなかった。 第2に、肉眼での観察を主体としながら、非常に珍しい症例である可能性が高い場合は、次世代シークエンサーによる各種ゲノム解析をする必要に気付いた(迫られた)。そのためにはクリーンルームが完備したした施設で1検査当たり数十万円単位の予算が必要となることから、その費用分を留保していること。古代人の病変人骨研究へも、ゲノム解析の必要性が年ごとに高まってきており、ハイレベルジャーナルへの掲載には、非常に有効であると考えられること。それに付随して、標本の異国間移動には、外務省や税関当局の許可や、それなりの経費が必要なこと。従って日本において検査を要する標本が今後多いことを見越しておかねばならないことがあげられる。 したがって、予算消化率が低いことの理由は、研究遂行が不可能ということではなく、むしろ調査する海外資料の多さから、ゲノム解析及びその他の発展的解析費用として温存している面もある。本年度は研究体制の一層の充実と成果を上げることに尽力していく。
|
Research Products
(4 results)