2022 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of methods of measurement and analyses of theory-based social class classification for health research in Japan
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18K19699
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
堤 明純 北里大学, 医学部, 教授 (10289366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神林 博史 東北学院大学, 教養学部, 教授 (20344640)
小塩 隆士 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50268132)
本庄 かおり 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (60448032)
可知 悠子 北里大学, 医学部, 非常勤講師 (10579337)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 健康格差 / 社会階層 / ライフコース / ストレス / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
第62回日本心身医学会総会シンポジウム(招待)において講演した研究成果を論文として発表した。社会経済的な要因が健康格差を引き起こすメカニズムには、生物学的な要因のみならず、心理的、行動科学的な要因が関与する知見を整理し、健康格差の課題解決には、心理社会的なアプローチが必要なことを示した。 日本医師会雑誌で企画された「健康格差への対応」の特集に参画した。本特集では、不安定雇用を取り上げ、不安定雇用にある労働者は、景気動向と関連して健康問題のリスクが高まること、また、コロナ禍で増加している自殺増が社会経済基盤の弱い若年女性の自殺リスク増に起因している知見をレビューした。さらに、職業に伴う健康格差のメカニズムとなる長時間労働を取り上げ、長時間労働を来しやすい職種における要因を分析した。 ライフコースアプローチの一環として、妊産婦のメンタルヘルスの課題を調査した。285人の妊婦のコロナ禍における追跡調査で、マタニティハラスメントを受けた妊婦は、産後うつのリスクが高まり、その関連性は、非正規雇用の女性で有意であった。マタニティハラスメントと産後うつの関連性は、周産期の抑うつ症状が媒介していて、この説明の度合いも非正規雇用者で大きかった。我々は、先行研究で、マタニティハラスメントを経験している就労妊婦は、経験していない就労妊婦と比べ、2.5倍抑うつを有する傾向にあり、(a)学歴が低い、(b)パート就労、(c)勤続年数が短い、(d)企業規模が小さい、(d)サービス業、(e)新型コロナウイルスへの不安が強い傾向を観察している。コロナ禍で立場の弱い妊婦にしわ寄せがいっている可能性があり、母子保健上の支援において留意すべきことを示した。 以上、最終年度は、とくに社会経済的な危機状況での健康格差の検証を行った。また、労働者の健康格差の実態とそのメカニズムを解明するためのデータベースを整備した。
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Research Products
(4 results)