2019 Fiscal Year Research-status Report
慢性心不全の筋微小循環とミトコンドリア機能を改善する次世代ハイブリッド磁気の開発
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18K19742
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤野 英己 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20278998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 浩代 名古屋女子大学, 健康科学部, 准教授 (50333183)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | パルス磁気 / 慢性心不全 / 骨格筋 / エネルギー代謝 / 筋伸長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は慢性心不全で惹起される骨格筋の機能低下に対するパルス磁気刺激の効果を検証することを目的にしている。磁気刺激は従来の電気刺激に比較して非疼痛性や照射の簡易性等の利点が多い。そこで、磁気の特性を活用して、心不全の骨格筋の微小循環とミトコンドリア機能障害に対する効果を検証した。慢性心不全モデル動物に対して磁気刺激の効果を検証した。さらに磁気刺激効果を増強させるための筋伸長装置を製作した。モノクロタリン誘導性心不全モデル動物では心臓や心室の重量は著しく増加し、心室肥大も観察され、心不全を呈した。また、下肢への磁気の照射は心臓の増悪や改善に関与しなかった。心不全に伴い下肢ヒラメ筋量は有意に低下し、下肢への磁気刺激は下肢筋量の低下を抑制できる結果を得た。一方、心不全時には筋持久性の低下が著しく、日常生活に影響を与えるために骨格筋の機能低下、特に代謝活性を予防することが重要である。パルス磁気刺激により筋線維の速筋化を抑制し、TCAサイクルに関与するクエン酸シンターゼ(CS)、コハク酸脱水素酵素(SDH)の低下を減衰させた。また、ミトコンドリア新生に関与するPGC-1αの低下も抑制し、心不全で増加した過酸化脂質を低減した。これらの結果からパルス磁気刺激は骨格筋の代謝を改善でき、慢性心不全による骨格筋の機能低下を改善させることが明らかになった。一方、磁気刺激に筋伸長装置を付加した治療では、骨格筋内に損傷した像が確認された。このため伸長速度を考慮する必要があり、本年度に検証を実施する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標を達成し、計画より早く進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性心不全モデルにより筋萎縮が確認され、本研究で使用できるモデルが完成した。また、パルス磁気刺激により筋萎縮を予防でき、特にエネルギー代謝に関連する代謝活性に対して高い効果が観察された。一方、磁気刺激に筋伸長を付加した方法では、予想していなかった骨格筋内の損傷が確認された。このために、伸長速度を考慮する必要があり、本年度に検証を実施する計画である。また、磁気自体の効果を検証するために培養筋細胞を使用した代謝フラックス解析を実施し、磁気のもつ特有の効果を検証したいと考えている。
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Causes of Carryover |
磁気刺激に付加する伸長装置を製作したが,装置の不具合や改善が年度内に終了しなかったために次年度使用額が生じた.また,本使用額は装置の変更改善や新たに代謝フラックス解析を実施するために使用する.
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Research Products
(20 results)