2019 Fiscal Year Research-status Report
適応的焦点多重化による立体プロジェクションマッピングの輻輳調節矛盾解決
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18K19817
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩井 大輔 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90504837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加嶋 健司 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (60401551)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | プロジェクションマッピング / 輻輳調節矛盾 / 焦点可変レンズ / 高速プロジェクタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、ユーザが装着するメガネ型光学系の焦点距離変調により、実空間の投影面の虚像を提示立体像の奥行きへと移動させ、同期してプロジェクタより立体像を投影表示する技法の開発と、その有効性および性能限界を明らかにすることが目的である。 3年計画の2年目である2019年度は、2018年度に構築したプロトタイプを拡張し、8ビット(=256階調)のグレイスケール画像を1,000Hzで投影することで、6段階の合焦距離で両目に映像提示できることを確認した。また、異なる合焦距離の領域間で生じる継ぎ目を目立たなくするため、接続部で輝度を連続的に減少させてブレンディングする、深度フィルタリングを導入した。投影実験を行い、目視によって、同手法に寄って継ぎ目が目立たなくなることを確認した。また、2018年度は投影対象として単一平面のみ用いていたが、2019年度はコーナー面を対象とした実験を実施して、所望の複数合焦距離提示が可能であることを確認した。これにより、提案手法が様々な形状の面に汎用的に利用可能である可能性が示唆された。 2018年度に構築したスパース最適制御に基づく焦点可変レンズの高速制御技術を論文としてまとめ、オープンアクセス国際ジャーナルのScientific Reportsに投稿した。同論文は掲載が決定し、8月末に公開された後、本書類作成時点(2020年4月18日)までに1200件近くのアクセスがあった。このことから、一定の注目を集めていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で設定した二つの技術課題の内、「焦点距離変調の高速制御」についてまとめた論文が高インパクトファクター誌に採録され、順調に技術開発が進展している。もう一つ技術課題である「投影像クラスタリング」にはまだ着手できていないが、異なる合焦距離で提示した映像同士の境目に生じる継ぎ目を目立たなくする技術に目処がついたため、来年度、同技術を導入することで最終目標となる立体投影システムの実現が射程に入ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2020年度は、最後の技術課題である投影像クラスタリングに取り組む。具体的には、表示目標である投影映像を、その深度情報に応じて3レイヤーの映像へとクラスタリングする。このとき、提示シーンの深度には偏りがあると考えられることから、単純に深度を均等分割するのではなく、輻輳調節矛盾が生じにくいような不均一分割手法を研究する。また、研究計画時点では、上記の深度の偏りのみを考慮することを想定していたが、2019年度に、異なる合焦距離で提示された映像の接続部分で不自然な継ぎ目が生じることがわかり、深度フィルタリングによってある程度それを軽減できるものの、完全に解消できるわけではないことが分かった。そこで、シーン中の一つの物体を異なる合焦距離で呈示しないように、クラスタリングする必要がある。これら二つの評価関数を定義して、それを最適化するような投影像クラスタリング手法を提案する。また、その成果を、バーチャルリアリティ分野のトップジャーナルもしくはトップ国際会議へと投稿する。
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Causes of Carryover |
異なる合焦距離で提示された映像の接続部分に、不自然な継ぎ目が生じる問題は、2019年度に実験を行っている際に明らかになった。このため、本格的なシステム構築の前に、この問題の解決法を研究する必要があった。上記理由より、システム構築のための物品費が不要となり、次年度使用額が生じた。同問題の解決方法が明らかになったことから、最終年度である2020年度にはシステム構築のために、同予算を使用する。
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Research Products
(6 results)