2019 Fiscal Year Research-status Report
高速大規模な画像情報の取得を特徴としたゲノムプロフィリングシステムの開発と応用
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18K19839
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
保川 清 京都大学, 農学研究科, 教授 (30397559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ビヤニ マニッシュ 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 客員教授 (00599780)
吉高 淳夫 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (60263729)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | ゲノムプロフィリング / PCR / 温度勾配ゲル電気泳動 / 画像処理 / 変曲点 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「ハードウエアの開発」、「ソフトウエアの開発」、「ハードとソフトの融合」に分けて進めている。 ・ハードウエアの開発:本項目では、細菌・細胞の培養、DNA抽出、DNA増幅をMMVマイクロアレイで行い、その後、サンプルをゲルに移してTGGEを行う一連の操作を自動化し、手作業が基本的に不要な「MMV-TGGEシステム」の開発を目的としている。2019年度は、開発したマイクロTGGE用ゲルと従来の装置を用いて、2サンプルを同時に泳動できることを確認した。現在、5サンプルを同時に泳動できるか検討している。さらに、3Dプリンターで100ウエルのMMVチップを作製した。現在、このチップで細胞培養やPCRの評価を行っている。 ・ソフトウエアの開発:本項目では、TGGEの泳動パターンを追跡し、変曲点を求める手法を開発することを目的としている。2019年度は、まず入力画像に対して軌跡の濃淡さや背景領域の濃淡差を正規化する処理を適用し、軌跡間並びにサンプル間の濃淡差の差異による検出性能のばらつきを抑制した。さらに軌跡検出処理の精度向上を意図して軌跡と背景間のコントラスト強調処理を施し、軌跡の検出処理を実装した。 ・ハードとソフトの融合:本項目では、各種用途に対してそれぞれ複数の測定項目を設定し、対応するプライマーを設計し、配列解析も同時に行い、TGGEの泳動パターンと関連づけ、「革新GPデータベース」を構築することを目的としている。2019年度は、等温DNA増幅法であるRPA(Recombinase Polymerase Amplification)法を構成するリコンビナーゼ(uvsYとuvsY)および1本鎖DNA結合タンパク質であるgp32について大腸菌で組換え酵素を発現させた。これに市販のBstDNAポリメラーゼを組み合わせることでRPA反応を実現させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・ハードウエアの開発:開発したマイクロTGGE用ゲルと従来の装置を用いて、2サンプルを同時に泳動できたことから、5サンプルを同時に泳動することの見通しがたった。また、100ウエルのMMVチップでPCRの反応が進むことを確認した。本チップの取扱いは、従来の1024ウエルのMMVチップよりも容易であった。これらのことから、本チップとマイクロTGGEの融合についても展望が開けた。 ・ソフトウエアの開発:本研究で開発したシステムで求めたTGGEの泳動パターンの変曲点が、従来の目視で求めたそれと概ね一致した。このことから、TGGEの結果をディジタル画像として取得して変曲点を検出することが基本的に可能になったと考えられた。 ・ハードとソフトの融合(主担当:保川):RPAに必要な酵素(uvsX、uvsY、)が大腸菌で再現性良く得られるようになった。また、自家調製した酵素でRPA反応が進行することを確認した。以上のことから、酵素の生産性の向上ならびにRPA反応最適化の準備が整った。これによりTwist社の酵素を使わないでもRPAが行える見通しがたった。
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Strategy for Future Research Activity |
・ハードウエアの開発:1024ウエルのMMVチップからのサンプルをハンドリングできる100ウエルのMMVチップ(ウエルのサイズは縦横1.6 mm、深さ1 mm)の評価を継続する。本チップ製作の3Dプリントの各種パラメーターの最適化を継続する。マイクロTGGEについては、5サンプルを泳動できる装置を試作する。 ・ソフトウエアの開発:本研究で開発したシステムで求めたTGGEの泳動パターンの変曲点と、従来の目視で求めたそれの一致率を上げることを目指す。具体的には、軌跡抽出処理に関して、軌跡の視点から隣接位置に対して類似濃度点を再帰的に探索し、追跡するアルゴリズムを設計・実装したが、複数軌跡が極度に隣接あるいは交差する箇所から先の追跡結果が良好ではなかったことに対して、軌跡の追跡性能や変曲点の検出精度の向上を図るために、SIFTによるフィルタリング、Haarフィルタによるフィルタリング、小ブロック領域単位の方向性フィルタを適用する処理を設計し実装する。 ・ハードとソフトの融合:2019年度には自家調製した酵素を用いてRPAを実現させたが、感度や迅速性等の基本性能はTwist社から販売されているキットに劣る。2020年度は、要因解析手法を用いて、酵素の生産効率の向上ならびにRPA反応条件の最適化を行う。そのために、ようを用いてRPAの評価を行った。また、「革新GPデータベース」の構築に向けて、配列既知の複数のPCR増幅断片に対してTGGEを行い、配列の違いが変曲点に与える影響について解析する。
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Causes of Carryover |
MMVマイクレアアレイの試作とRPA酵素の生産に時間がかかり、評価を2020年度に行うことになった。また、新型コロナウイルスの流行のため、2020年3月の学会が中止となった。ただし、全体計画に大きな影響はない。
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[Journal Article] Val143 of human ribonuclease H2 is not critical for, but plays a role in determining catalytic activity and substrate specificity2020
Author(s)
Baba, M., Kojima, K., Nishimura, T., Sugiura, T., Takita, T., Uehara, R., Crouch, R. J., and Yasukawa, K
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Journal Title
PLoS One
Volume: 15
Pages: e0228774
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Inhibition of HIV-1 reverse transcriptase activity by the extracts of Indian plants2020
Author(s)
Ishizuka, K., Tsutsumi, Y., Baba, M., Biyani, R., Meng, C.W., Biyani, M., Takagi, M., Jaiswal, J., Sharma, B., Kojima, K., Takita, T., and Yasukawa, K.
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Journal Title
Journal of Biologcal Macromolecules
Volume: 20
Pages: 17-22
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Characterization of six recombinant human RNase H2 bearing Aicardi-Goutieres syndrome causing mutations2019
Author(s)
Nishimura, T., Baba, M., Ogawa, S., Kojima, K., Takita, T., Crouch, R. J., and Yasukawa, K.
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Journal Title
The Journal of Biochemistry
Volume: 166
Pages: 537-545
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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