2019 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍微小環境のナノDDS関連免疫ステータス解析に基づいたナノがん免疫療法の開発
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18K19888
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 孝司 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (20604458)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 薬物送達学 / ナノ粒子 / がん免疫療法 / 腫瘍関連微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ドラッグデリバリーシステム(DDS)の体内動態/細胞内動態に関連する特有の免疫ステータスパラメータや変動を明らかにし、腫瘍微小環境のDDS関連免疫ステータスに基づいたDDS設計戦略を立案、現行のがん免疫療法抵抗性の難治性がんを克服するための新規がん免疫療法の開発を目指す。 本年度は、どのような腫瘍内遺伝子発現パラメーターが抗腫瘍活性を反映しているかを明らかにすることを目的として以下の実験を行った。昨年度見出した担がんマウスモデル4種に対し、免疫チェックポイント阻害剤であるprogrammed cell death 1(PD-1)抗体を投与した。抗腫瘍活性を評価した結果、PD-1抗体が有効なモデルとPD-1抗体に抵抗性を示すモデルに分類された。さらに、腫瘍組織を回収し、昨年度に設定した約20種類の遺伝子発現をRT-qPCR法により測定した。そして、抗腫瘍活性と腫瘍内の遺伝子発現を比較することで抗腫瘍活性を示す遺伝子発現パラメーターを見出すことに成功した。続いて、アジュバントとして、アジュバントとして細胞内DNAセンサーであるstimulator of interferon genes(STING)経路のアゴニストを搭載した脂質ナノ粒子を担がんマウスモデルに投与し、抗腫瘍活性評価と腫瘍組織の遺伝子発現評価を行った。その結果、先に見出した抗腫瘍活性を示す遺伝子発現パラメーターに合致した。このことから、見出した遺伝子発現パラメーターは脂質ナノ粒子などのDDSが誘導するがん免疫応答に関連する免疫ステータスとして有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、抗腫瘍活性を示す遺伝子発現パラメーターを見出すことに成功したため、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度見出した遺伝子発現パラメーターを軸とし、免疫チェックポイント阻害剤に抵抗性を示すがんに対して有効性を示すナノDDSを基盤としたがん免疫療法の開発を行う。
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Research Products
(8 results)