2018 Fiscal Year Research-status Report
体内埋込み型医療機器用電源のための非酵素型燃料電池の開発
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18K19936
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
柏木 良友 奥羽大学, 薬学部, 教授 (50204384)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 非酵素型燃料電池 / ニトロキシルラジカル有機触媒分子 / 修飾電極 / 体内埋込み型医療機器 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、はじめに生理条件下でグルコースを酸化することが可能な高活性ニトロキシルラジカル触媒の獲得のため、ニトロキシルラジカル触媒のスクリーニングを行った。すなわち、立体的要因と電子的要因の両観点から最適構造を同定した。その際、立体的要因を検証するために嵩高さを微調整した種々のビシクロ、トリシクロ骨格を有する触媒を合成した。嵩高さを軽減すると触媒骨格の歪みが増すために触媒が不安定になり、最もバランスの良い高活性の触媒を同定した。また、電子的要因として、分子骨格上に電子求引基を導入した触媒を種々合成した。ここで電子求引性基の導入により活性種であるオキソアンモニウムの求電子性が増すために活性が向上したが、同時に酸化電位が高電位側にシフトし好ましくなかったため、最もバランスの良い触媒を同定した。以上の結果から、ノルトロピン型ニトロキシルラジカルが生理条件下で最もグルコースを酸化するのに最もバランスの良いニトロキシルラジカル触媒であることが分かった。 次に、燃料電池として広く普及するためには触媒の電極上への固相化が必須であることから、ニトロキシルラジカル触媒のスクリーニングにより得られた最もバランスの良いニトロキシルラジカル触媒の電極への固定化を行った。その際、触媒の活性(反応速度)のみならず、その安定性が鍵となることから、ニトロキシルラジカル触媒のスクリーニングにより得られた知見をもとに、電解重合法、SAM法、交互累積膜法において修飾電極を作製し評価したところ、ピロール置換ノルトロピン型ニトロキシルラジカルを電解共重合することにより、ニトロキシルラジカル触媒を安定かつ効率的に電極上に固定化することができた。さらに、このニトロキシルラジカル触媒修飾電極を用いて、生理条件下でグルコースの電解触媒酸化反応を効率的に行えることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は2年間の研究課題で、(1)生理条件下でグルコースを酸化することが可能なニトロキシルラジカル化合物の創製、(2)ニトロキシル化合物の効率的な電極上への固定化法の開発、(3)ニトロキシル化合物修飾電極を用いた体内埋込み型医療機器用燃料電池の開発から構成されている。1年目に(1)および(2)に関する研究成果を順調にあげることができた。すなわち、ニトロキシルラジカル触媒のスクリーニングにより最もバランスの良いニトロキシルラジカル触媒としてノルトロピン型ニトロキシルラジカルを見つけ出し、ピロール置換ノルトロピン型ニトロキシルラジカルを電解共重合することにより、ニトロキシルラジカル触媒を安定かつ効率的に電極上に固定化することができ、生理条件下でグルコースの電解触媒酸化反応を効率的に行えることを明らかにすることが出来たからである。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は本研究課題の根幹をなす(3)ニトロキシル化合物修飾電極を用いた体内埋込み型医療機器用燃料電池の開発を達成する必要がある。燃料電池は酸化反応が起こる負極側と還元反応が起こる正極側から成り立っており、最もバランスの良いニトロキシルラジカル触媒としてノルトロピン型ニトロキシルラジカルを創製し、さらにピロール置換ノルトロピン型ニトロキシルラジカルを電解共重合することにより、ニトロキシルラジカル触媒を安定かつ効率的に電極上に固定化することが出来たことから負極側の作製は終了した。よって、今後の研究は正極の条件検討が中心となる。すなわち、正極では溶液中の溶存酸素の水への還元反応を効率的に進行させることが可能な反応条件を詳細に検討を行う。また、ニトロキシルラジカルはグルコースなどの糖以外にもアルコール類、アミン類の酸化反応も進行することから、これらの基質存在下での電解触媒酸化反応による燃料電池の可能性についても合わせて検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初購入予定だった電極作製用のCO2レーザープラーを業者に依頼しデモンストレーションを行ったところ、体内埋込み型医療機器用電源のための燃料電池用微小電極を作製するのには十分な性能を有していないことが判明した。そこで自家製の電極作製用のCO2レーザープラーを作製するための備品、消耗品購入等に費用を当てたために、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、自家製の電極作製用のCO2レーザープラーの性能向上のための消耗品が必要なため、翌年度分消耗品費(130万円)に次年度使用額(約40万円)を加えて翌年度消耗品費を170万円として使用する計画である。
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Research Products
(6 results)