2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the non-enzymatic fuel cell for the implantable medical device power supply
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18K19936
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
柏木 良友 奥羽大学, 薬学部, 教授 (50204384)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 非酵素型燃料電池 / ニトロキシルラジカル有機触媒分子 / 修飾電極 / 体内埋め込み型医療機器 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度にニトロキシルラジカル触媒のスクリーニングにより得られた知見をもとに、ピロール置換ノルトロピン型ニトロキシルラジカルを電解共重合することにより、ニトロキシルラジカル触媒を安定かつ効率的に電極上に固定化し、このニトロキシルラジカル触媒修飾電極を用いて、生理条件下で血液などの体液に存在し、動植物の活動エネルギーとなる物質であるグルコースの電解触媒酸化反応を効率的に行えることを明らかにした。そこで今年度は、この作製した高活性ニトロキシルラジカル触媒修飾電極を用いて中性水溶液中で、グルコースの電解触媒酸化反応を試みた。すなわち、負極を高活性ニトロキシル触媒修飾電極としてグルコースの酸化反応、正極では溶液中の溶存酸素の水への還元反応を進行させ、体内埋込み型医療機器用燃料電池としての可能性について検討を行った。その結果、エネルギー密度は1000 Wh/kgであった。これは、仮にグルコースを二酸化炭素まで完全酸化する場合に、変換効率が現実的な40%とするとそのエネルギー密度は1,100 Wh/kgであることからそれに十分匹敵し、現状の2次電池であるリチウムイオンバッテリーの200 Wh/kgを大きくしのぐものであり、安定性、出力、容量密度の課題を克服し実用化に耐えうるものである。また、ノルトロピン型ニトロキシルラジカルはグルコースなどの糖以外にもアルコール類、アミン類の電解触媒酸化反応においても、高電流効率、高選択的かつ高収率で進行することが明らかとなり、グルコース以外の生体内成分を基質とした電解触媒酸化反応による燃料電池の可能性についても明らかとなった。今後は、作製したノルトロピン型ニトロキシルラジカル修飾電極の生理条件下での耐久性を明らかにし、生体に安全・安心な電源として、人体の近くで使用するポータブル型機器や医療補助具、生体埋込型医療機器への利用の可能性を検討する。
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