2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19954
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
花木 伸行 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70400611)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 実験経済学 / 限定合理性 / マクロ経済理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の第一の成果は、本課題で挙げている研究ビジョンに関して、日本経済学会で(招待)講演を行い、その講演内容がJapanese Economic Reviewに掲載されたことである。また、プロジェクトの宣伝をかねて、2019年11月には東京で開催された実験社会科学国際カンファレンスで特別セッションを企画した。このセッションに研究課題の分野で顕著な業績を挙げている2名の研究者をシンガポールから招聘し、彼らと意見交換を通じて今後の国際共同研究の可能性も探った。議論を継続するために2月にもESAアジア太平洋大会で同じメンバーでの企画セッションを準備していたが、COVID-19の影響で学会自体が延期となった。一方、本研究の中心となる実験研究(課題1および2)の基盤となる被験者データベースの整備を進めるべく、オンライン実験や実験室実験を通じて、参加者の認知能力やリスク選好等の個人属性データの収集を進めた。また、課題1に関しては、非常に基本的な貨幣経済実験を開始した。この実験では、インフレ率の差が貨幣の使用頻度にどのような影響を与えるのかをKiyotaki-Wright(1991)やBonetto and Iacopetta(2019)の理論モデルに基づいて検証している。これらの二つの実験に関しては、前者に関しては予定していた人数の半数程度、後者に関しては、計画していた実験の2月下旬以降、COVID-19の影響で実験が中断している。課題3の金融業界のプロフェッショナルを対象とした実験実施のために、日本証券アナリスト協会との協力関係を構築し、協会員を対象とした実験を令和2年度中に実施できることとなった。また、令和2年度から雇用予定であったポストドクター研究員の人選を終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最も大きな原因は、COVID-19の影響で、2月下旬以降に計画していた実験をすべて延期せざるをえなくなったためである。それに加えて、課題1で挙げていた2次元美人投票ゲームに関しての再現実験用のソフトウェアーが未完成なため、実験実施に至っていないことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に関しては、COVID-19による活動制限の解除と共に、中断している実験を再開する。一方で、活動制限が継続する間に、7で挙げた2次元美人登場ゲームの再現実験用のソフトウェアーを完成させる。また、課題2で挙げているマクロ経済政策の効果を検証する実験として、Farhi and Werning(2019, AER)の理論論文をもとに実験ができないか検討し、可能であれば、実験を準備する。また、証券アナリスト協会会員を対象とした実験のために、オンライン実験用のプラットフォームを準備し、準備が出来次第、実験を実施する。また、活動制限が長引く可能性も考慮して、これまで実験室における実験を中心としてきたが、これをどこまでオンラインで実施できるのかを検証する作業を行う。これは、実験インフラの変更や実験用ソフトウェアーを新たに作成する必要が生じるだけではなく、市場実験等では、グループ単位での参加が必要なので、参加者をどのようにマネージするのかという問題を解決する必要があるためである。最後に、海外への渡航や海外からの研究者招聘が現在中断しているが、この間はビデオ会議等を通じて、すでに開始した意見交換等に関しては、定期的な議論を進める。
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Causes of Carryover |
2月以降の海外出張および企画していた国際研究集会がCOVID-19により全て中止となったこと、そして、すでに述べたように計画していた実験が延期となったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費、謝金は、令和2年度4月から雇用したポストドクター研究員、事務補佐の非常勤職員、そして、実験用ソフトウェアーの作成等を担当する研究助手の雇用に加えて、現在中断している実験の再開、新たに計画している実験の実施に伴って計画通り使用される。旅費に関しては、現在海外渡航が中断しており、すでに夏以前に関しては、計画していた海外研究者の招聘、および、国際学会への参加の中止が確定したため、流動的であることは否めないが、今後の状況
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Research Products
(16 results)