2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K19954
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
花木 伸行 大阪大学, 社会経済研究所, 教授
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 実験経済学 / 限定合理性 / マクロ経済理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、COVID-19の影響で、活動が大幅に制限されている中、できる範囲内で着実に研究を進めた。被験者データベースの整備の実験は、全てオンライン実験に変更した。また、昨年度開始した貨幣経済の実験室実験は、実験を終了させることができ、現在データを分析し、論文を執筆中である。課題2に関して、量的緩和政策の効果を検証するための実験室実験を開始した。残り1セッションで実験終了という段階まで来ている。実験室実験の実施が困難であることを鑑み、オンライン実験でも実施が容易な個人の意思決定実験を中心に実験を行うよう当初の計画を変更した。例えば、近年、金融市場においてアルゴリズムの重要性が高まっていることを鑑み、株価予測に関して、参加者がどの程度アルゴリズムからのインプットを利用するかに関しての実験をオンラインで行った。この実験はすでに終了し、現在論文を執筆中である。加えて、仲介取引の可能性がある状況下での価格の動きについてのオンライン実験を実施した。これも実験は完了し、現在データを分析しているところである。また、日本証券アナリスト協会の協力を得て、金融業界のプロフェッショナルを対象とした実験を実施した。この実験も完了し、現在データを分析中である。これらの成果の一部は、国際研究会で発表した。また、移動が制限される中での意見交換の場として、東アジア仮想実験行動経済学セミナーシリーズを開始しただけでなく、3月には、オンラインではあったが、国際研究集会(International workshop for Lab and Field Experiments)を開催し、基調講演を、実験マクロ経済学分野世界的権威であるJohn Duffy教授に依頼し、“Why Macroeconomics Needs Experimental Evidence”という題目で実施していただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅れている最も大きな原因は、COVID-19である。海外からの研究者招聘、自らの海外出張等はすべて延期とした。また、実験室でないと実施が困難な実験を除いては、なるべくオンライン実験で対応できる様に、体制を整えることに相当な時間と労力が費やされた。一方で、オンライン実験の実施体制を整え、証券アナリスト協会との協力関係に基づくオンライン実験を実施するなど、まだ論文としてまとまってはいないが、活動が制限される中でも着実に進めている課題もある。一方で、実験室実験の実施が困難な状況の中で、比較的、オンラインで問題なく実施できる個人レベルでの意思決定課題や、少人数グループでの相互作用課題を中心に実験の内容の変更を行うなど状況に応じて対策を施している。今年度実施した実験に関しては、データの分析を進め、雇用した特任研究員が、プロジェクトの一環として開催した国際研究集会で結果を発表するなど、若手育成に関しての成果も挙げ始めている。また、一般向けの講演会で、プロジェクトに関して講演するなど、啓蒙活動にも力を入れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度も開始早々、蔓延防止、また再度緊急事態宣言が発出される見込みである。この様な状況ではあるが、昨年度オンライン実験を実施して収集したデータの分析と論文執筆は進める。また、昨年度の年末から感染拡大で中断している実験室実験も、状況が許し次第再開し、完了させる予定である。 今年度7月に開催される国際学会で、招待講演を依頼されている。また、今年度末には、実験経済学会アジア太平洋地域大会を開催する予定であるが、これに関しても、今後の感染状況次第では、オンライン実施に切り替える等の対策が必要となるかと思われる。 また、実験の遅れに加え、海外出張、海外からの研究者招聘等がすべて延期となってしまっているため、プロジェクトを1年延期することを考えている。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で、海外出張や、海外からの研究者の招聘がすべて中止となった。また、予定していた数の実験も同様の状況で実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現状では、プロジェクトの1年の延期を視野にいれて計画を練り直している。今年度も少なくとも前半に関しては、国際学会はオンライン開催であり、海外出張等の見込みは薄く、また、共同研究者の招聘も厳しい。昨年度雇用したPD研究員にとっても、実験の実施が計画通り進んでいないために、雇用期間を1年延長することが望ましい。現在は、RAとしてプロジェクトに貢献してくれている大学院生に関しても、今年度後半からは特任研究員として雇用する予定である。
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Research Products
(18 results)