2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19954
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
花木 伸行 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70400611)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 実験経済学 / 限定合理性 / マクロ経済理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、COVID-19の影響で、活動が大幅に制限されている中、できる範囲内で着実に研究を進めた。被験者データベースの整備の実験の結果を論文にまとめ(Hanaki et al, ISER DP 1141)、さらに、その結果をオンライン調査会社のパネルに登録する年齢と性別で代表性のある日本のサンプルと比較した(Hanaki et al, ISER DP 1160)。
量的緩和政策の効果を検証するための実験室実験の結果を論文にまとめ(Duan and Hanaki, ISER DP 1147)、共著者が行動経済学会やAP-ESA2022で発表した。株価予測に関して、参加者がどの程度アルゴリズムからのインプットを利用するかに関してのオンライン実験の結果を論文にまとめ共著者が行動経済学会で発表した。仲介取引の可能性がある状況下での価格の動きについてのオンライン実験の結果を論文にまとめ(Hanaki, et al. 2021, ISER DP 1151)、共著者がAP-ESA2022で発表した。また、日本証券アナリスト協会の協力を得て、金融業界のプロフェッショナルを対象とした複数の実験を実施した。そのうちの一本(Hanaki 2022)は査読付きの国際誌に掲載が決まった。もう一本(Bao et al. 2022, ISER DP 1156)は、実験社会科学カンファレンスで発表した。
また、引き続き移動が制限される中での意見交換の場として、東アジア仮想実験行動経済学セミナーシリーズを継続し、3月には、オンラインではあったが、国際学会(Virtual AP-ESA 2022)を開催し、基調講演を、実験マクロ経済学分野世界的権威であるJohn Duffy教授および若手研究者の中でも同分野で多くの成果を出しているLuba Petersenに行っていただいた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅れている最も大きな原因は、COVID-19である。海外からの研究者招聘、自らの海外出張等はすべて延期となった。それでも、昨年度整えたオンライン実験の実施体制を用いて、証券アナリスト協会との協力関係に基づくオンライン実験を実施し結果を論文としてまとめるなど、活動が制限される中でも着実に進めた。雇用した特任研究員との共同研究も論文としてまとめ、査読付きの学術誌に投稿し、プロジェクトの一環としてホストした国際学会で結果を発表した。この特任研究員は昨年度末に他大学で専任講師として就職がきまるなど、若手育成に関しての成果も挙げている。また、金融問題を研究する弁護士が組織する研究会で、プロジェクトの成果に基づいた講演をするなど、啓蒙活動にも力を入れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究期間を一年延長した。令和4年度は、海外からの研究者招聘が可能となったため、延期してきた海外共同研究者の招聘を実施する予定である。また、自身の海外渡航も昨年度までと比較して容易になったため、延期していた海外の共同研究者を訪問しての共同研究も進めていく。 昨年度まで雇用していた特任研究員の就職を受けて、今年度は、新たに特任研究員と実験室のサポートスタッフを雇用し、これまで以上に実験研究を推進していく。昨年度、準備はしたが、実施に至らなかった実験が複数あるので、これらを前期に実施し、その結果を論文としてまとめる作業を進める。また、昨年度までに執筆、投稿した論文の査読の結果がで始めたため、それらに基づいて、これらの論文の改訂も進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
研究開始直後から、コロナ禍の影響で、海外出張および海外からの研究者招聘等が不可能となるばかりではなく、実験の遂行にも大きな遅れが出たことで、次年度に研究を延長する必要が生じた。 今年度は、海外渡航や研究者招聘が可能となったので、海外での学会発表および当初予定していた共同研究者の招聘等を精力的に進めていく予定である。 また、若手研究者育成の一環として、特任研究員も継続して雇用し、彼らとの共同研究も精力的に進めていく。
|