2018 Fiscal Year Research-status Report
Archaeological Study of human migrations and inter-islands networks in Oceania
Project/Area Number |
18KK0019
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小野 林太郎 東海大学, 海洋学部, 准教授 (40462204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
印東 道子 国立民族学博物館, その他部局等, 名誉教授 (40203418)
片桐 千亜紀 九州大学, 比較社会文化研究院, 共同研究者 (70804730)
山極 海嗣 琉球大学, 戦略的研究プロジェクトセンター, 特命助教 (80781202)
片岡 修 上智大学, アジア人材養成研究センター, 客員教授 (90269811)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | 新たな発掘調査 / CST土器 / 貝製品 / 炭化物 / 発掘区の拡張 / 連携強化 / ポンペイ島 / ミクロネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度における研究実績としては、2019年2月より開始したミクロネシアのポンペイ島での発掘調査が挙げられる。この調査は、本科研における研究協力機関で、研究地域におけるカウンターパート機関でもあるポンペイ州の歴史保存局(HPO)との共同調査として実施されたものでもある。その対象となった遺跡は、ポンペイ島の周囲を囲むリーフ内に位置する離島の一つ、レンゲル島の沿岸で発見された先史遺跡である。2008年にHPOによって実施された試掘調査では、この遺跡より約2000年前以降の初期移住期における土器と認識されてきたCST土器や黒曜石が出土した。また黒曜石の産地同定による結果、これらがメラネシアのアドミラルティ諸島産のものであることが判明していた。これに対し、今回のより大規模な発掘では、白い砂層からなる下層より、多数のCST土器片や貝製品が出土し、この層が初期移住期に遡る居住痕跡を包含していることが改めて確認できた。一方で、期待していた黒曜石の出土はこの調査では確認できなかったが、年代測定を可能にする多数の炭化物や貝類、動物遺存体を収集することができた。これらの考古資料により、今後の遺跡年代の確定、ミクロネシア~メラネシアを含めた物質文化との比較分析による初期移住集団の起源地の特定を目的とした研究を進めることが可能となる。また遺跡の分布域や未攪乱地帯の特定という点においても、大きな成果があった。本年度の発掘は、本科研における最初の調査でもあるため、この調査を起点とし、来年度におけるさらなる発掘区域の拡張へと繋げる見込みが付いたことや、国際的な共同研究を実施する上でのメンバー間での連携強化も重要な実績として指摘できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず計画通りに発掘調査の実施を実現できた上、白い砂層からなる下層より、多数のCST土器片や貝製品が出土し、この層が初期移住期に遡る居住痕跡を包含していることが改めて確認できたことが指摘できる。一方で、黒曜石の出土は確認できなかったものの、まず必要となる年代測定を可能にする多数の炭化物や貝類、動物遺存体を取集することができたことは極めて重要である。考古学的調査は、発掘してみないとどこまでの成果があるか想定できない面も多いため、今回のように多くの出土遺物や発見があったことは、計画以上の成果と認識できよう。同じく今回の発掘を通し、日本側のメンバーと現地のHPOを中心とした研究メンバーとの連携強化がはかれたことも大きな成果と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の調査により、年代測定を可能にする多数の炭化物や貝類、動物遺存体を取集することができたため、今後の研究においてはまず遺跡年代の確定、ミクロネシア~メラネシアを含めた物質文化との比較分析による初期移住集団の起源地の特定を目的とした研究を進める計画である。また遺跡の分布域や未攪乱地帯の特定もできたため、次年度の発掘調査では、発掘範囲をさらに拡大しつつ、遺跡の全範囲を確定していく方針である。発掘区の拡張により、より多くの遺物や考古学的データの収集が可能となるであろう。
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Causes of Carryover |
本研究プロジェクトが開始したのが10月以降だったこともあり、年度内での国際調査の実施を遂行した際、日程調整が難しく、参加できなくなった研究分担者、協力者が多かった。このために次年度使用額が生じる結果となったが、次年度は4月から1年間のスケジュールで実施できるため、これらの問題は解消できるほか、1回辺りの海外調査もより長期的に実施できる予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] Early Metal Aged Dentate-stamped Potteries, Burial Ornaments, and Human Migration in Wallacea- Evidences from Sulawesi and Northern Maluku Islands, Indonesi2018
Author(s)
Ono, R., H.O. Sofian, A. A. Oktavianus Sriwigati, N. Aziz, C. Katagiri, and M. Takenaka
Organizer
The 21st Congress on Indo-Pacific Prehistory Association, Hue, Vietnam
Int'l Joint Research
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