2022 Fiscal Year Research-status Report
Russia as a Military Power and Its Relations with the Near East and the Black Sea Rim
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18KK0036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松里 公孝 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (20240640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 悠 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (10817307)
黒木 英充 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20195580)
大串 敦 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (20431348)
錦田 愛子 慶應義塾大学, 法学部(三田), 准教授 (70451979)
今井 宏平 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター中東研究グループ, 研究員 (70727130)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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Keywords | 露ウ戦争 / ドンバス戦争 / クリミア / モルドヴァ / 沿ドニエストル |
Outline of Annual Research Achievements |
①2022年8月16日から9月15日まで、ロシア黒海地方、モルドヴァ、スロヴェニアで海外調査を行った。主に2014年以降のウクライナ動乱と露ウ戦争がロシアの黒海地域、モルドヴァ、沿ドニエストルに及ぼしている影響を調べた。出張中にベイルートで行われた国際学会に出席して報告した。②2023年1月、著名な軍事専門家2名、すなわちアメリカからマイケル・コフマン、ロシアからワシーリー・カシンを招いて、東京大学先端研究センターと京都大学経済研究所でウクライナ戦争の軍事学的側面につき研究会を行った。カシンは、残念ながら、出国に制限がかかりオンライン参加となった。その内容は日本の露ウ戦争研究を助けると同時に、下記の自著(ちくま新書)を豊富化することになった。③ウクライナ戦争関係で、学術的な口頭発表を8回、市民的な講演を10回行った。④ちくま新書から『ウクライナ動乱―ソ連解体から露ウ戦争まで』を出す予定で、ほぼ上梓した。 内容的には、1.歴史上出現した分離紛争解決の処方箋を、連邦化、land-for-peace、保護国化、再征服、親国家の破壊の5類型に分けて、長所、短所を明らかにし、処方箋が次第に過激化してゆく傾向があることを明らかにした(Nationalities Papers に近刊)。 2.2014年以後のウクライナ動乱史を、残部ウクライナ、クリミア、ドンバスの3地域に分けてまとめた(ちくま新書)。 3.一見不安定に見えるモルドヴァと沿ドニエストルが戦争と地政学対立に巻き込まれなかったのはなぜか考察した(英語論文執筆済、近日投稿)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分離紛争処方箋の類型論が、一流学術雑誌であるNationalities Papers に採択された。モルドヴァ政治についての英語論文を近日海外雑誌に投稿する。ウクライナ動乱史についてのちくま新書を近日中に出版する。これらを総合すれば、相当の業績になるため。
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Strategy for Future Research Activity |
私がシリア戦争分析から始めた軍事・紛争研究が一段落ついた。上記の研究成果を確実に公刊にこぎつけたい。 類似領域における私のもともとのテーマは、環黒海地域における非承認国家と文化地政学(宗教、跨境民族など)であった。それが、2014年以後、ウクライナ動乱やシリア戦争が始まったことにより、軍事研究や紛争研究プロパーにかなり力を移していた。今後はもともとのテーマに戻って、当時出しかけていた業績を出版したい。 軍事研究については、国際法的な側面にまだ大きな研究余地があるかもしれない。
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Causes of Carryover |
国際研究集会のために招聘を予定していたロシア人研究者が、政府から制限がかかり来れなくなってしまったため
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