2018 Fiscal Year Research-status Report
An International Comparative Study of Governance in Representative Democracy
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18KK0039
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 良彰 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (40153655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 健 同志社大学, 法学部, 教授 (50468873)
鎌原 勇太 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (70710268)
築山 宏樹 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (60800480)
原田 勝孝 福岡大学, 経済学部, 准教授 (30738810)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | 代議制民主主義 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、すでに民主主義が定着している国における民主主義の「質」を分析するものである。なお、国レベル及び自治体レベルが相互に関連して重層的に代議制民主主義のガバナンスを構成するために両レベルにおける国際比較を行うので、米国FAUIと韓国GSPAの二つの海外拠点と共同研究を行う。 平成30年度は、まず国レベルの代議制民主主義の民意負託機能及び代議的機能、事後評価機能を分析するために、韓国GSPAと共同してデータの収集及び分析を実施した。具体的には、日本の国政選挙の候補者の選挙公報と韓国の国会議員候補者が中央選挙管理委員会に届け出たポスターやパンフレットを収集して内容分析した。この内、16予算項目の増減と賛否項目を対象としてコーディングした。さらに政治家の議会活動(発言及び法案への投票)に関するデータについては、日本の国会議事録検索システムより収集し、韓国については、同国国会内の国会情報システムより収集し、前述の選挙公約と同じ基準でコーディングした。これら共同研究のために韓国GSPAと共催でシンポジウムを開催(於、ソウル国立大学)し、本研究課題メンバー全員と韓国GSPAのメンバーが研究報告を行い、共同研究を進捗した。さらに本研究課題では、自治体レベルの分析を行うために、米国FAUIと緊密な連携を取りながら、FAUIが行った自治体関係者調査と比較するための日本における自治体関係者調査実施の準備を行った。具体的には、FAUIのTerry Clark教授の指導を受けながら、FAUIが行った自治体関係者調査と比較するため日本の全ての市・特別区の市長・区長、市議会議長・区議会議長、総務課長の計2445名をリストアップするとともに、設問票を作成した。これを受けて、研究分担者の飯田・原田両名が渡米してシカゴ大学Terry Clark教授の下で比較調査の準備作業をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、これまでに米国FAUIのTerry Clark教授と緊密な連携を取るとともに、研究分担者の飯田と原田がシカゴ大学FAUIに滞在して、日米比較をするための調査項目や調査被対象者について協議を進めて来た。その結果、Clark教授等が行ったFAUI調査と比較するための日本側調査の被対象者のリストアップ等の準備作業を終えた。また当初計画を超えて、Terry Clark教授とはFAUI研究だけでなく、所得格差と代議制民主主義の関連に与える地域特性の影響を通してScene研究についても国際比較を行うことが確認された。 さらに、韓国GSPAのSoon-Eun Kim教授とも緊密な連携を取りながら共同研究のためのデータ収集と内容分析を進め、その研究成果をもって平成31年2月に研究代表者及び研究分担者全員がソウル国立大学GSPAに滞在して、共同シンポジウムを開催した。同シンポジウムでは本研究の研究代表者と研究分担者全員ならびにGSPA側研究者の計12名が研究報告を行い討議した。その討議を通して、本研究課題申請に記載したガバナンスの比較研究を進捗するとともに、当初計画を超えて、GSPAのSeung Jong Lee教授(元GSPA院長)の依頼を受けてWell-Beingについての共同研究を併せて行うことになった。具体的には、本研究課題のメンバーがソウル国立大学Center of Well-Beingの研究員に就任して政治的不平等や災害が民主主義にもたらす影響の研究によるWell-Beingの国際比較を行うことが確認された。 このように研究代表者がこれまで培ってきたFAUIプロジェクトやGSPAにおける米国や韓国の研究者とのネットワークに日本の若手研究者を組み入れ、当初計画を超えて拡大した国際共同研究を通して国際共著論文を刊行することを支援している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、米国FAUIが行った調査と比較するために日本の自治体関係者2445名に対する調査を実施して回収してデータセットを作成する。また、研究分担者である飯田・原田・鎌原がシカゴ大学のTerry Clark教授の下に滞在してFAUI研究に関する共同研究を行う。これらを通して、政治文化の変化(New Political Culture:以下、NPC)に着目して、従来の政治的対立軸とは異なる新しい軸を設定し、両者の軸を組み合わせることで自治体の首長をA:伝統的保守主義、B:伝統的リベラリズム、C:NPC、D:クライエンタリズムの4つのタイプに分類する。その上で、各自治体における社会経済的地域特性がどのようなタイプの首長の選出に繋がり、それがどのような政策アウトプットをもたらすのかを実証的に解明する。 さらに、平成30年度に引き続き、韓国GSPAとの共同研究を進め、1-1:競合する候補者が整合性のある選挙公約を提示しているのかを明らかにするために、選挙でどのような選挙公約が提示されているのかを分析する。特に、日本や米国のように基礎的財政収支が赤字な場合(韓国も2015年度まで赤字)に整合性が取れない選挙公約を提示しているかを分析する。1-2:候補者が提示する公約に基づいて有権者が選択しているかを明らかにするために、有権者が候補者の公約の中で最も自分の考えに近いものを選択し、その公約を提示する候補者に投票しているかを分析する。2-1:選出された政治家が公約に基づいて議会活動を行っているのかを明らかにした上で、2-2:政治家の選挙公約と議会活動の整合性が、次の選挙における有権者の選択に影響しているのかを分析する。また、研究代表者の小林と研究分担者の築山がソウル大学GSPAに滞在して共同研究を行う。なお、全員が上記の研究成果を査読付き学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
本研究ではシカゴ大学FAUIが行った調査と比較するために日本の自治体関係者計2045名に対する郵送調査を行うが、シカゴ大学側の意向により調査時期を次年度後半に変更することになったため調査実施関連支出の一部を次年度に繰り越した。
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Research Products
(69 results)