2019 Fiscal Year Research-status Report
情報の非対称性と多様な期待形成がもたらす金融市場への影響とその安定化政策について
Project/Area Number |
18KK0046
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
船木 由喜彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50181433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 竜一郎 早稲田大学, 国際学術院, 准教授 (80345454)
篠 潤之介 早稲田大学, 国際学術院, 専任講師 (30822217)
秋山 英三 筑波大学, システム情報系, 教授 (40317300)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | 金融市場 / 経済学実験 / 情報の非対称性 / 視線測定器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトは、金融市場参加者の期待が個々の取引行動、市場価格、取引量にどのように影響を与えるか、また、どのような情報を元にそのような期待を形成しているか、を研究している。さらに、市場参加者の認知能力との関係も研究する。これにより、人々の金融市場における限定合理的な行動を、情報探索行動や期待形成プロセスから類別し、これらの分析を通じて、金融安定化制度構築のための理論的基礎を構築する。研究方法としては主として、経済実験と視線測定器を用いた実験を行い、情報探索や期待形成プロセスを分析している。 2019年度は研究代表者の船木が在外研究中であったため、日本人研究者とはネットを通じて議論を行い、海外からの遠隔的な指示により実験を行った。実験については、早稲田大学における実験室実験の他、早稲田大学の視線測定器実験室における実験も遠隔で行った。これらの結果は現在分析中であり、実験結果を整理し、まとめている。 船木は在外研究中にシンガポール南洋理工大学を2度訪問し、Eko Ryanto准教授、Te Bao講師と本研究の進展と実験計画、実験の成果について議論を行った。また、本研究の内容について、モンペリエ大学、ニース大学、グラナダ大学、マラガ大学、ハワイ大学、ソウル国立大学、シンガポース経営大学(SMU)においてセミナーを行い、議論を行った。中でもフランス、エコールポリテクニックには、本プロジェクトの一環として日本人若手研究者とともに訪問し、実験ワークショップを行い、本研究の関連研究を報告した。また、グラナダ大学では国際ワークショップを共同で開催した。 船木の日本一時帰国中に、シンガポールの代表者であるEko Ryanto准教授が2度訪日し、研究方針や共同研究についての議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は在外研究中であったが、海外の実験研究拠点を訪問し、研究報告と議論を行い交流を深めた。特にフランス、エコールポリテクニックには日本人若手研究者と共に訪問し、本プロジェクトに関連する4つの研究報告を企画し、多くの議論ができた。また、グラナダ大学では、現地スタッフとともに国際ワークショップを企画し、研究報告を行った。 さらに、特筆すべき事は本研究の直接的成果として、2つの金融実験論文が査読付き国際学術誌に出版された。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はシンガポールで大規模な国際ワークショップを行い、今までの計画や研究成果を公表する予定であった。また、早稲田大学で行った実験と同様な実験をシンガポールにて行う予定であった。しかしながら、新型コロナウイルスの影響により、外国へ渡航が制限される中、現地での実験やワークショップ開催は、無期限に延期されている。その中、オンラインでの日本での実験を企画し、さらに、秋からは日本での実験室実験を再開する予定である。また、秋以降に、オンラインでの国際ワークショップ開催も、検討している。ただ、時差の問題などもあり、その実現は容易ではない。
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Causes of Carryover |
研究代表者の船木が在外研究中であったため、予定された金融実験の一部を実行することができなかった。それを元にした新しい研究や国際ワークショップの日本での開催も延期された。それらを2020年度可能な範囲で実行する計画である。ただし、2019年度中には全く予測できなかった新型コロナウイルスの影響で、実験、ワークショップとも延期されており、この予定通り2020年度に使用できるか不明な点もある。
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Research Products
(28 results)