2019 Fiscal Year Research-status Report
都市部における共生の危機と「内発的ソーシャル・ミックス」に関する仏米比較研究
Project/Area Number |
18KK0054
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
森 千香子 同志社大学, 社会学部, 教授 (10410755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 一基 東洋大学, 社会学部, 講師 (00822420)
南川 文里 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (60398427)
宮田 伊知郎 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (80451730)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | 都市 / 共生 / 貧困 / 移民・エスニシティ / ソーシャル・ミックス |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、前年度に明らかになった課題である、パリ・ニューヨークでのソーシャル・ミックス政策が一見すると共通点が多いように見えながら、それぞれのナショナルな文脈においてどのように異なる意味を持っているかという点について、より深い分析を行うために、政策の歴史的背景を理解するための公文書、新聞・雑誌記事などの資料や音声・映像データなどを収集し、整理検討する作業を進めた。そして「内発的ソーシャル・ミックス」というアプローチが形成される過程を、ナショナルレベルの政策とローカルレベルの政策の両方を捉えながら検討を行った。 第二に、「内発的ソーシャル・ミックス」アプローチが現場の施策にどのような影響を及ぼし、とくに住民コミュニティにどのような帰結をもたらしてきたのかについて、現地調査を実施した。具体的には、両地域の現状を社会・経済・人種民族・都市空間などの側面から把握し、その形成過程や当該社会における位置づけを整理し、いつから、どのように「ソーシャル・ミックス」政策が行われ、またどのような文脈で「内発的アプローチ」が導入され、具体策がとられたかについて調査を行った。 第三に、海外研究協力者のエレン・ルバイとの研究会を11月、12月の二回、日本で開催した。11月の研究会ではパリにおけるソーシャル・ミックスと再開発の関係について、ルバイがベルヴィル地区の中国人女性セックスワーカーの事例をとりあげて報告した。12月には森がニューヨーク・ブルックリンにおけるジェントリフィケーションとソーシャルミックスの現状について報告し、その後、米仏比較を行う上で整理すべき論点を確認した。 本年度の研究を通して、ソーシャルミックスの時間的差異と空間的差異を同時に捉える枠組みの形成の必要性が課題として浮かび上がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に予定していた資料収集に関しては順調に進んだ。また2019年冬の米国調査も順調に進んだ。 しかし2020年3月に米国とフランスでそれぞれ予定していた現地での海外研究者との共同調査がコロナウイルス問題で実施できず、延期を余儀なくされた。 今後のコロナウイルス対策の推移を見極め、遅れを取り戻すべく進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の前半に、海外研究協力者のエレン・ルバイと研究会を開催し、これまでの研究進捗状況について各自がプレゼンをし、情報を共有し、フィードバックをもとに研究計画の改良をし、調査をすすめていくが、状況次第で研究はオンラインで行うこととする。
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Causes of Carryover |
2020年3月にフランスと米国にて海外調査協力者と研究会を開催する予定であったが、コロナウイルスの拡大によって延期せざるをえない状況に追い込まれた。コロナウイルスの状況の推移をにらみつつ、延期日程を海外協力者と調整中であるが、現在のところ2020年9月に延期して実施する予定である。
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Research Products
(15 results)