2021 Fiscal Year Research-status Report
都市部における共生の危機と「内発的ソーシャル・ミックス」に関する仏米比較研究
Project/Area Number |
18KK0054
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
森 千香子 同志社大学, 社会学部, 教授 (10410755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 一基 東洋大学, 社会学部, 准教授 (00822420)
南川 文里 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (60398427)
宮田 伊知郎 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (80451730)
菊池 恵介 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70536945)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | 都市 / 共生 / 移民・エスニシティ / ソーシャル・ミックス / 貧困 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、2020年度にオンラインで行った聞き取り調査のデータの整理と分析を進め、パリ郊外オルネー・スー・ボワ地域とニューヨーク市ブルックリン区ブラウンズヴィル地域において「ソーシャル・ミックス」政策が1970年代以降、どのように展開されてきたのかと、その過程で「内発的アプローチ」が導入された歴史的文脈と関係するアクター、さらに具体策の推移について明らかにした。 第二に、海外研究協力者の支援を受けながら、オルネー・スー・ボワー地域において、予定されていた現地調査の一部を行った。行政関係者と学校関係者、NGO関係者、住民を対象とした聞き取り調査を実施し、内発的ソーシャル・ミックス政策が学校と市政参加のあり方に及ぼした複数の帰結とそこから生じた矛盾について分析を進めた。 第三に、 調査の途中経過と今後の方向性を検討するために、海外研究協力者も含めた非公開の研究会を三度にわたって行い、仏米の両政策の共通点のなかにみられる差異についての検討を進め、比較分析の枠組みを定めた。 第四に、現地調査の実施できなかったブラウンズヴィル地域については、ソーシャル・ミックス政策の影響について、オンラインでの情報収集を進めた。具体的には、コロナウイルス感染拡大が地域のソーシャル・ミックスに及ぼす影響について、ブルックリン・ムーヴメント・センターのマイケル・ヒギンズ氏によるレクチャーを受けたのに加え、ヒギンズ氏の協力を得て、同地域の住民5名に対してオンライン・インタビューを行った。 第五に、海外研究協力者のエレン・ルバイ氏より、パリにおける再開発とソーシャル・ミックス政策がセックス・ワーカーに及ぼす影響についてレクチャーを受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、予定されていた現地調査を行うことができず、調査の延期を余儀なくされてしまったため、結果的に全体の進行に遅れが生じた。感染症の状況を随時見極めながら、海外協力研究者とオンラインで定期的に連絡を取って情報交換を重ね、予定されていた調査の一部はオンライン(ズームによる聞き取り調査、ファイルや映像動画、メッセージなどを共有しての意見交換)で実施した。しかし本研究の調査の性格上、オンラインでは代替できない調査があり、それについては今年度実施することができなかった。またコロナウイルスの拡大は、資料の収集に関しても図書館の閉鎖や利用制限などによって影響を及ぼしており、その面でも遅れが生じることとなった。今後は海外研究協力者と密に情報交換をしながら、コロナウイルス対策の推移を見極め、代替案を模索しつつ、遅れを取り戻すように進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年4-5月に海外研究協力者とコロナウイルスの感染拡大状況をにらみながら情報交換と協議を重ねた上で、2022年度の研究計画の修正・調整を行う。注いて6月中旬に科研メンバーによる非公開の研究会を開催し、自分の担当する調査の進捗状況と分析について各自がプレゼンを行い、現状の確認と問題点、今後の課題を共有する。そのうえでフィードバックをもとに各自が調査計画の調整を行い、8、9月に調査を実施する。調査はできるだけ現地調査を目指すが、状況次第ではオンライン調査や海外研究協力者への調査依頼を含め、代替の方法によって研究を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外出張や現地調査が予定通りに実施できず、繰越金が発生した。この分については、当該年度にパンデミックをめぐる状況の推移を随時にらみつつ、実行することとしたい。
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Research Products
(18 results)