2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on behavior of microplastics in urban water cycle in Asia and estimation of the source
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18KK0118
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 周平 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00378811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 裕識 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(つくば中央研究所), 研究員 (20762272)
安井 宣仁 近畿大学工業高等専門学校, 総合システム工学科 都市環境コース, 准教授 (90547481)
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Project Period (FY) |
2019-02-07 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロプラスチック / 水循環系 / アジア / 動態解析 / 路面粉塵 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネパール国カトマンズ市とベトナム国ダナン市における生活排水中の微量化学物質の挙動を調査し、日本における結果と比較した。その結果、日本国内において規制対象となっている化学物質の使用は減少していたが、それらの関連物質としての使用は、引き続き行われていることが分かった。 路上におけるレジ袋およびストローからのマイクロプラスチックの生成試験の試験系を開発し、計6種類のレジ袋とストローからのMPsの生成挙動を検討した。その結果、紫外線による劣化と足踏作用による物理的影響により、1㎝2の試料から5,000以上のMPsの生成を確認した(20μm以上)。さらに、全体の40%が20μmよりも小さくなっていることが示された。すなわち、路上において目に見えない大きさのMPsが生成していることが示された。また、MPsの劣化指標の検討を行い、マルテンス硬度が有効な指標の一つであることが示された。 下水に曝露させたマイクロプラスチックに対し、精密質量分析技術を用いたノンターゲット分析をすることで、下水中で吸脱着しやすい化学物質群の探索を実施した。 深紫外LED(UV-LED)照射を用いた病原微生物の不活化特性について評価を実施した。併せて、病原微生物として使用した大腸菌ファージの紫外線照射における遺伝子発現量の減少割合と不活化割合を評価した。その結果、一般的使用されている低圧紫外線ランプとほぼ同等の不活化効果を得られ、かつUV-LED省電力かつ小型、間欠運転可能な点も踏まえ、電力供給が不安定な途上国等でも利用できる可能性が見いだせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、海外での調査は困難であったが、新型コロナウイルス感染症以前に現地で採取した試料を分析し、日本国内での調査結果と比較することで、研究を進めることができている。 今年度は新型コロナ感染状況の影響もあり下水試料の分析は予定通りには進まなかったものの、室内実験で検討できる内容により研究を進めた。これによって、下水処理過程におけるマイクロプラスチックと共存化学物質との相互影響に関する知見を得ることができた。 基礎的なデータではあるが、現状、着々と病原微生物、耐性菌、環境水中の常在菌に関しての紫外線照射におけるデータ蓄積が行えてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症以前に収集したベトナム国ダナン市における水循環フローを活用し、今年度分析したデータを組み込むことで、物質フローとしての検討を進める予定である。路面からの洗い流しについては、国内を対象として調査、分析を行う予定である。 引き続き、都市水循環系において影響が懸念される物質の吸脱着特性を検討する。今年度取り組んだノンターゲット分析の測定データをさらに解析し、吸着しやすい物質や脱着しやすい未知の物質の同定を試みる。 現状、蓄積されたデータを解析し、照射方法、紫外線の利用方法について提案を行っていく。併せて遺伝子発現量の減衰から病原微生物低濃度試料での消毒効果を評価する手法の構築を目指すことで、より実現場での利用可能性について言及していく予定である。
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Causes of Carryover |
近大高専の安井博士と岐阜大学の鈴木博士とともに、ベトナム国ダナン市のフーロック川流域を対象に、マイクロプラスチックの挙動の把握とマイクロプラスチックに吸着した微量化学物質および病原微生物の実態について調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、中止せざるを得ない状況となった。これらは次年度へ持ち越すことを予定している。 また、ほとんどの学会がオンライン開催となったため、国内旅費等、一部の経費を次年度に繰り越すこととなった。次年度では、実験補助員の賃金や、分析に用いる試薬・器具類の消耗品購入に充てる予定である。
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