2019 Fiscal Year Research-status Report
生物的硝化抑制(BNI)能強化コムギ品種作成に向けた高精度選抜マーカー開発
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18KK0167
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
Subbarao Guntur 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (00442723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 智史 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 任期付研究員 (00749921)
安西 俊彦 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 農村開発領域, 研究員 (40829991)
吉橋 忠 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 主任研究員 (60450269)
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Project Period (FY) |
2019-02-07 – 2021-03-31
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Keywords | 生物的硝化抑制 / コムギ / 遺伝子評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に準備したコムギ・ミニコアコレクションの種子について、国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)において約4ヶ月間の栽培試験を行い、328系統のDNAを抽出した。その結果、Genotyping by Random Amplicon Sequencing-Direct(Gras-Di)法による分析が実施可能となった。試料は日本に送付し、現時点で冷凍保存している。R2年度から試料の分析を開始する。また、CIMMYTから形質評価に必要なコムギ37系統の種子を受領し、形質評価試験の準備を開始した。試験対象としている328系統の一部ではあるものの、形質評価に向けた試験が可能になったことから、R2年度に速やかにBNI(生物的硝化抑制)関連形質の評価を実施する。また、その他の系統についても、順次、種子を受領次第、形質評価を実施する。 また、CIMMYTにおける高BNIコムギの評価に向けたポット試験の準備を行った。ポット試験においては、土壌、植物体、ならびに溶脱水の分析により、窒素動態を明らかにすることを目的としている。CIMMYTの提案により、BNI評価指標としてコムギの硝酸リダクターゼ活性(NRA)の分析を実施することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メキシコにおけるコムギ・ミニコアコレクションの種子およびDNA試料取得のための栽培試験は、現地の協力により順調に推移した。既にDNA試料を抽出・受領し、以後の遺伝子型分析(Gras-Di法)による解析の準備を完了した。また、CIMMYTから受領したBNI能評価の可能なコムギ転座系統について、国内圃場における栽培試験をR1年秋に開始した。順調に生育しており、R2年6月頃に収量調査ならびに試料採取を行い、各種分析に供しBNIの効果を検証する予定としている。 一方、R2年1月末より流行が確認された新型コロナウィルスの影響により、渡航規制により日本とメキシコ間での移動が不可能になるとともに、CIMMYT研究者に対する自宅待機命令により現地研究活動が大幅に制限されたため、当初予定していたポット試験などの栽培試験が実施出来なかった。 以上、予定された研究活動の現時点における実績は以下のように要約される。①ミニコアコレクションの構築 (H30年度に完了)、②ミニコアコレクションの育成とDNA抽出(R1年度に完了)、③コムギの幼苗根圏分泌物のBNI活性測定(準備完了、R2年度に実施) 、④GRAS-Di法による遺伝子型検定(準備完了、R2年度に実施)、⑤高BNI能コムギ品種栽培が土壌中の窒素動態および環境負荷量に及ぼす影響の定量(準備完了、R2年度に開始予定)、⑥ゲノムワイド関連解析(GWAS)の実施とBNI形質に関するマーカーの特定(R2年度に開始予定)。
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Strategy for Future Research Activity |
メキシコから送達されたコムギ・ミニコアコレクションのDNA試料は、Gras-Di法による遺伝子型分析を9月頃までの完了を目途として実施する。また、コムギ・ミニコアコレクションのBNI形質評価を実施する。R1年度に受領した37系統の種子に加え、R2年度内に全系統の種子を受領し、形質評価を実施する。 懸念事項として、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、日本―メキシコ間での移動制限が継続される可能性がある。二国間の移動を伴う試験が実施困難である場合、CIMMYTならびにJIRCAS内において栽培試験を実施し、結果の議論などについてはオンライン会議を活用して対応する。
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Causes of Carryover |
助成開始時期の影響による前々年度予算の繰り越しについて、本年度中に使用することが出来なかったため、そのまま次年度使用額として残が生じている。加えて、コロナウイルスの感染拡大による研究活動および渡航制限により、当初予定していた予算執行が出来ていない。次年度試験においてGras-Di法や形質評価試験により予算を使用することが予定されている。
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