2020 Fiscal Year Research-status Report
生物的硝化抑制(BNI)能強化コムギ品種作成に向けた高精度選抜マーカー開発
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18KK0167
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
Subbarao Guntur 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (00442723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 智史 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 任期付研究員 (00749921)
安西 俊彦 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 農村開発領域, 研究員 (40829991)
吉橋 忠 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 主任研究員 (60450269)
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Project Period (FY) |
2019-02-07 – 2022-03-31
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Keywords | Gras-Di法 / 遺伝子型検定 / 生物的硝化抑制 / コムギ |
Outline of Annual Research Achievements |
CIMMYT(メキシコ)より供与されたコムギ・ミニコアコレクションの325系統について、DNA試料を受領しGras-Di法による遺伝子型検定を実施した。得られた結果は今後の形質評価のデータを受けてBNI形質関連座位の決定に用いる。 また、同ミニコアコレクションの内、種子を受領済みであるデュラムコムギ野生種37系統について、疎水性BNI能の評価を実施した。疎水性BNI能の評価には、10日齢の植物約20本を使用し、各系統について2回の反復を実施した。日本で栽培したコムギの根を酸性化したDCMで洗浄した後、根の表面に生成した疎水性BNI物質を抽出・濃縮し、前述のようにニトロソモナス菌によるバイオアッセイを用いてBNI活性を測定した。 株あたりの疎水性BNI能は、これらの系統間で約0.8ATUから2.73ATUの範囲を示し、本年度に実施した限られた品種の中でも3倍程度の変動が観察された。また、乾物あたりBNI活性(ATU g-1 rtwt)は、100ATUから500ATUの範囲を示し、5倍近いばらつきがが認められた。株あたりのBNI活性が低い品種は、乾物あたりのBNI活性も低い傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初2020年6月に予定していたコムギ種子の収穫・輸送について、新型コロナウイルス感染拡大によりCIMMYTへの圃場作業者の入所が制限されたため、栽培場所である網室内にウイルス病が蔓延し、植物が被害を受けるとともに、種子がウイルスに汚染されたことで日本への輸送が不可能となった。結果として、形質評価は既に輸送済みのコムギ系統だけしか実施出来ず、デュラム野生種のコムギ37品種を選定して疎水性BNI能を測定することとした。残りのデュラム品種(約300品種)のうち、被害の少なかった70系統を先行して日本に輸送することとしており、当該70系統についての形質評価を実施するとともに、CIMMYTでは2021年5月から再度、種子増殖を行う予定としている。既に同年3月末に種子を発芽させ、その後8℃低温室で春化処理を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
現地で実施する予定であったBNI能評価のためのポット試験について、相手国における新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、CIMMYTにおける活動制限が続いているため、現地実施が困難と判断し、国内で並行実施することとする。 また、既に遺伝子型検定結果を得ていることから、早期に全系統の形質評価を行い、BNI形質関連座位を特定する。 日本とメキシコの移動に制限があるため、オンラインミーティングなどの連絡を密にとり、相互の情報共有を図る。
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Causes of Carryover |
本課題については予算交付が年度末であったため、初年度の予算消化は困難であり、初年度の予算を繰り越して使用しているため次年度使用額が生じた。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、メキシコにおけるポット試験・圃場試験などが実施出来なかった。また、二国間の出張がすべて中止になったため次年度使用額が生じた。 次年度は残りの1)コムギ系統についての形質評価試験、2)BNI能評価のためのポット試験ならびに3)根浸出液のBNI物質同定を国内で実施する。当該試験において、分析用高圧ガスおよび試薬など消耗品費として計約300万円程度を予定する。加えて2)については当初予定になかったため、諸分析を委託とするため210万円程度(1検体3万円×70試料)を要すると考えている。 また、CIMMYTのコロナウイルス感染症の状況によっては、CIMMYTにおける圃場試験およびポット試験を継続する。現地での施設借り上げ費用および分析費用として100万円程度を想定する。CIMMYTにおける試験実施の可能性については2021年10月までに判断する。一方、当初予定していた日本-メキシコ間の渡航についても、20万円×4回の80万円を想定していたが、同様に2021年10月までに渡航の可否を判断する。現地での活動および渡航が不可となった場合、国内活動費に振り替える。
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