2022 Fiscal Year Research-status Report
Extensive characterization of domestication-related genes in buckwheat by utilizing the genetic resource of Yunnan province, China
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18KK0172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安井 康夫 京都大学, 農学研究科, 助教 (70293917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 信之 京都大学, 農学研究科, 特定研究員 (30829180)
FAWCETT JEFFREY 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 上級研究員 (50727394)
大迫 敬義 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (80363969)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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Keywords | 栽培ソバ / 野生ソバ / 栽培植物起原学 / ゲノムスキャン / 中国 / 雲南省 / 四川省 / チベット自治区 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】野生ソバ(Fagopyrum esculentum ssp. ancestrale)は雲南省を中心とする中国南部にのみ自生し、栽培ソバ(F. esculentumssp. esculentum)と交配可能な重要な植物遺伝資源である。しかし世界のどこにも野生ソバ遺伝資源は構築されておらず、中国の急速な発展とともにその遺伝資源は失われようとしている。そこで本研究では共同研究先の雲南農業大学(YAU)において野生ソバを中心としたソバ遺伝資源の維持管理システムを構築する。また、遺伝資源に含まれる野生お よび栽培ソバの全ゲノム配列決定から、ソバの栽培化に関与した育種上重要な遺伝子群を網羅的に同定し、最終的にソバの栽培化プロセスを解明する。 【結果】昨年度までに、中国南西部(雲南省、四川省、およびチベット自治区)から採取した47の野生種と、中国南西部およびネパール、インド、ブータンなどの近隣諸国からの57の栽培種の全ゲノム解析(WG)の結果から、東チベットの野生集団が栽培種に最も密接に関連していることがわかっていた。本年度はこの結果に基づき、集団分岐統計(PBS)解析により詳細に人為選抜を受けた栽培種のゲノム領域を検出した。その結果、第1染色体上の約52-53Mbの領域が高いPBS値を示し、本領域が強い人為選抜を受けたと考えられた。また、他の野生集団には存在しない東チベット野生集団のマイナーハプロタイプが栽培個体群に広まり、固定化に至ったことが判明した。すなわち、東チベット野生集団から栽培種が起原したと考えられた。さらに、この領域を詳細に調査したところ、アラビドプシスやイネで休眠に関与するSnRK2遺伝子が座乗しており、本遺伝子がソバの栽培化に関与している可能性が高いと推測している 【次年度予定】起原地と推定された東チベット周辺の詳細なフィールド調査とサンプル追加を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに当初の目的どおりにソバの採集とWGSの解析を実施し、野生種と栽培種での全ゲノム解読をほぼ終了することができた。また、これらサンプルを中国雲南農業大学に保管しており、今後のソバのゲノム科学的研究を展開できる体制を整えることができた。コロナウイルス蔓延の影響により、東チベットでの最終的な調査が進んでいないが、以下の「今後の研究の推進方策」で述べるように、目標を達成できる見込みは高いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルス蔓延の影響により、一昨年度より東チベットの採集調査が進んでいない。メールやWeChatによる通話などにより、中国側研究者と密に連絡を取っており、本年度はコロナウイルスの状況が好転しているとの情報を得ている。また、もしも我々日本側研究者が中国に渡航できない場合には、中国人側研究者に調査を依頼する予定である。中国(雲南農業大学)での植物の栽培、DNA抽出、およびWGS解析のための一連の手順は既に確立されており、最終年度である本年中に、目標を達成する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延のために目標達成に必要な中国への渡航が不可能であったため、研究期間を延長した。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] De novoアセンブリとbulked segregant 解析を用いたキヌア本葉の赤色色素生産に関わる遺伝子の同定2022
Author(s)
久篠 沙耶子, 水野 信之, 西村 和紗, 上野 まりこ, 中崎 鉄矢, 小林 安文, 藤田 泰成, 白澤 健太, 平川 英樹, 安井 康夫, 桂 圭佑
Organizer
日本作物学会
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[Presentation] ソバアナフィラキシーリスクマネジメントに向けた低アレルゲン特性系統の探索と獲得2022
Author(s)
原尚資, 佐藤里絵, 岡本薫, 圓山恭之進, 松井勝弘, 鈴木達郎, 石黒浩二, 大塚しおり, CHEN R., 手島玲子, 近藤康人, 安井康夫
Organizer
日本育種学会