2019 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of climate change affections on habitat use of forest large sized mammals, Asian black bears and brow bears in Far-East Russia
Project/Area Number |
18KK0181
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
山崎 晃司 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (40568424)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
釣賀 一二三 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 環境・地質研究本部 環境科学研究センター, 室長(環境科学研究センター) (50287794)
小池 伸介 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40514865)
後藤 優介 ミュージアムパーク茨城県自然博物館, 資料課(兼務), 学芸員 (20574312)
|
Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
|
Keywords | ツキノワグマ / ヒグマ / ロシア沿海州 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロシア沿海地方は,大型森林性哺乳類であるツキノワグマとヒグマが同所的に生活する世界でも極めて希な地域として特徴付けられる。植物食により適応したツキノワグマと,強い雑食性を示すヒグマがどのような生息環境選択と種間関係を保つかは極めて興味深い研究課題ながら,その実態はまだほとんど明らかにされていない。 このような生態的特徴を持つ沿海州であるが,近年の気候変動(温暖化)により,これまで同地に接近することのなかった台風が,この10年ほどの間に度々上陸して,森林被害を与えている。2016年夏には,北海道を通過した大型台風が上陸して,風倒木の発生,地形の侵食や崩壊が森林の極めて広い範囲で認められた。すでに構築されている日露の国際ネットワークを用いて,森林被害(生息環境の広範な改変)がクマ類などに与える影響を評価すると共に,北方原生林での大型野生動物の生態のモニタリング体制の確立を長期的目標とする。 2019年度では,これまでに収集しているクマ類2種のGPS行動軌跡を深層学習(Deep Learning)により解析を行い,両種の移動パターンの相違を検討したが,サンプルがオスに偏ったためか,現在までのところ考察できる相違を抽出するには至っていない。また,両種の利用クラスターで採取した糞内容物の分析と,糞表面に付着した代謝物の遺伝子解析による種判定を終えた。また,ノルウェーの大学と共同で,ツキノワグマとヒグマが利用したGPSクラスターから,ベッディングサイトを抽出するプログラムを開発した。今後,ベッディングサイトにおいて植生の環境改変がどの程度行われたかを現地で定量調査して,クマ類の生態系エンジニアとしての役割を評価する計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
血液や体毛などのサンプル輸入に関するロシア側のCITES許可は依然として下りておらず,日本国内での解析見込みは立っていない。 また,2019年度は現地調査にかかるその他の許可も遅延したことに加え,台風による調査地の被害の復旧が進ます,アクセス道路状況が改善しないことなどから現地調査は行えなかった。電子メールによるやり取りおよびウラジオストク市での関係者打ち合わせに終始した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究に遅延が見られるが,2020年度に再び以下の計画を実行する。 1. 行動面での環境利用:追跡事例がないメスのヒグマおよびツキノワグマを各2頭以上捕獲し,GPS首輪の装着を行う。また,環境の変化が,種間関係に与える影響評価のために,両種の種間関係を接近検知センサーで計測する。測位された位置情報をもとに、実際の両種の集中活動場所の現地調査を行い、どのような環境要求性を有しているかの検討を行う。 2. クマ類の食性面での環境利用:景観構造の影響を明らかにするために,両種の食性解析を複数の手法を用いて行う(e.g.,フン分析法,体毛安定同位体分析など)。糞の採集は,GPS追跡個体の集中利用域の踏査により行う。体毛については休息場所からの採集を行う。体毛と糞は,遺伝解析により,種および性別の判別を行う。体毛の窒素および炭素の安定同位体比からは,食性履歴をSIARモデルにより推定する。 3. 生息環境現状(森林被害)の把握と生息環境利用モデルの検討:衛星画像と現地踏査を用いて,台風による森林被害の現状を可視化する。その上で,実際のクマ類の環境利用を重ね合わせて,その環境選択性をモデル化する。また,保護区事務所が実施予定の,有蹄草食獣の分布現況調査結果を併せて,クマ類への生息環境変化の影響を評価する。 4. クマ類の生態系エンジニアとしての役割を評価するため,ベッディングサイト植生の経年変化を追跡調査して,マイクロハビタットの質の改変を評価する。 ただし,COVID-19の影響により今年度の調査予定は,すべてキャンセルされる可能性が高く,研究計画の大幅な見直しが求められそうである。
|
Causes of Carryover |
ロシア側の研究に関する許認可制度に関して中央政府より変更があり,必要な許可(クマ類の捕獲やCITESにかかるサンプルの輸出など)が取れなかったことに加え,台風による調査地への取り付け道路の損傷部分の復旧が進まず,現地調査が行えなかったため。
|
Research Products
(7 results)
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Evaluation for secondly users of marking trees in Sikhote-Alin Nature Reserve in Primorsky region, Far-East Russia2019
Author(s)
Ivan Seryodkin, Koji Yamazaki, Tensho Suzuki, Shigeyuki Izumiyama, Hifumi Tsuruga4, Shinsuke Koike, Yusuke Goto, Svetlana Soutyrina, Dale Miquelle
Organizer
The 12th International Meeting of Asian Society of Conservation Medicine (ASCM) in Phnom Penh, Cambodia 2019
Int'l Joint Research