2020 Fiscal Year Research-status Report
国際医学物理ネットワークを軸とした放射線治療における先端技術の創出と普及
Project/Area Number |
18KK0240
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 光宏 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30584255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 恵 (宇藤恵) 京都大学, 医学研究科, 助教 (20826028)
椋本 宜学 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50736618)
溝脇 尚志 京都大学, 医学研究科, 教授 (90314210)
小野 智博 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90782657)
角谷 倫之 東北大学, 大学病院, 助教 (20604961)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | 医学物理学 / 放射線治療 / 品質管理 / 国際標準化 |
Outline of Annual Research Achievements |
[A] 情報資源の相互利用基盤の構築:放射線治療装置Veroで実現可能なDynamic WaveArc(以下,DWA)照射法専用の非商用品質管理モンテカルロシミュレーション(以下,MC)ソフトをバンクーバーがんセンターと共同で開発した.肝癌に対するDWAプラン72件に対して,MC線量線量分布と商用治療計画(以下,TPS)線量分布を比較した.最大線量の30%以上の線量分布を対象に,最大線量に対する3%の線量差((MC線量-TPS線量)/TPSの最大線量)かつ線量分布同士の距離の閾値を3 mmとした場合の三次元ガンマ解析では,平均値(最小―最大)が98.5%(95.9―99.6%)の線量分布一致度であった.結果が得られるまでの計算時間も約23分と臨床使用可能な速度であった.本成果は,J. Appl. Clin. Med. Phys., 21, 206~218, 2020に掲載されている.
[B] コンピュータービジョンを用いた高精度放射線治療技術の開発:肺癌を対象とした深層学習を用いた腫瘍位置予測モデル及びX線透視画像上の腫瘍位置抽出アルゴリズムを開発した.現在,学習に用いたデータ以外で精度検証を進めている.また,対象疾患を膵癌に拡大し,パラメータの最適化を実施している.
[C] 統一放射線治療品質保証法の開発:これまでに開発した非剛体位置合わせ(以下,DIR)精度検証用ファントムを用いて,海外2施設,国内17施設を対象に実験を行った.各施設に応じた臨床用撮影条件でファントムを撮影し,DIRを実行した.その結果,DIRのパフォーマンスには大きな幅があることがわかり,DIRのプロセスを最適化することの重要性を明らかにした.現在,本成果をまとめた論文を投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに研究が進捗している
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Strategy for Future Research Activity |
[A] 情報資源の相互利用基盤の構築:前年度までに作成したVero用のリファレンスビームデータモデルを用いて,その精度評価を継続する.また,Veroから照射される線量の計算が可能である商用放射線治療計画装置(TPS)にモンテカルロシミュレーションが実装された.商用TPSに対して,これまでに作成したVero用のリファレンスビームデータモデルを実装し,その妥当性を検証する.また,その情報を海外の協力施設と共有する.
[B] コンピュータービジョンを用いた高精度放射線治療技術の開発:現在開発中の深層学習に基づく腫瘍位置予測モデルの精度検証を進め,その有用性を評価する.4DCT画像からDRR画像を作成し,CycleGANと呼ばれるネットワークでX線様透視画像を生成すると同時に,CT画像上に描画された標的の投影像も併せて学習させることで,リアルタイム腫瘍位置抽出を目指す.
[C] 統一放射線治療品質保証法の開発:前年度に開発したDIR精度検証用ファントムにガラス線量計を留置できるモジュールを用いて,変形による線量分布への影響を評価する.協力施設は国内10施設程度を予定している.また,今年度は医用画像における多種多様なRadiomics特徴量を簡便に算出でき,かつ人体胸部を模擬した物理ファントムを開発する.Radiomicsとは,放射線医学分野において多量の情報を系統的に扱う学問を指す.Radiomicsでは,腫瘍などの関心領域から肉眼的に確認できない高次元の定量的画像情報(腫瘍球面性や画像ざらつき,画素統計量等)であるRadiomics特徴量を抽出し,それらと臨床データを相関させて,治療効果等を予測する研究が進められている.装置ベンダーや撮像プロトコル等の違いにより,Radiomics特徴量の値は変動しうるため,その変動が評価可能なファントムを開発する.
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Causes of Carryover |
旅費に計上していた研究費がCOVID-19の影響で使用できなかったため次年度使用額が生じた.使用計画については,今年度は新規でRadiomics用ファントムを開発する予定であり,そのファントム実験のための訪問もしくは郵送に必要な費用として使用する.
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