2020 Fiscal Year Research-status Report
アフリカにおける新興・再興の環境汚染のフィールドベースの毒性メカニズム解析
Project/Area Number |
18KK0287
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石塚 真由美 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (50332474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池中 良徳 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (40543509)
中山 翔太 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (90647629)
中田 北斗 北海道大学, 獣医学研究院, 学術研究員 (60815273)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | ザンビア / 南アフリカ / ガーナ / 環境汚染 / 農薬 / アフリカ / 重金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、アフリカ諸国では急速な資源開発がすすめられている。そのため急激な環境の汚染が顕在化しており、一部の国では生態系や家畜・ヒトにおける健康被害が報告されるようになった。化学物質は、食糧生産や感染症制圧には必要不可欠であるが、途上国では化学物質汚染によるリスクを度外視して使用している現状がある。化学物質による脅威(ケミカルハザード)については、目に見えにくい潜在的な性質のため、対策が後手に回される傾向が強い。本研究では、アフリカでもっとも問題となっている金属、農薬についてその現状を明らかにすること、およびフィールドトキシコ ロジーの概念により、そのメカニズムと現象を結 びつけることを目的としている。
2020年度は海外への渡航が実施できず、また、カウンターパートの大学が度々閉鎖されたため、現地での試料採集を進めることができなかった。そこで、国内ですでに輸入済みの試料に関しての毒性学的分析を中心に進めた。ザンビアからの試料では重金属、特に鉛による毒性学的影響を、野生げっ歯類、イヌ、ヒト試料を用いて解析した。エピゲノム、トランスクリプトーム、メタボローム解析により、高濃度の鉛汚染の影響が一部認められた。南アフリカでは、DDT高濃度ばく露の野生げっ歯類について認められた影響を実験室内で再現できるかどうかについて研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、アフリカ地域における環境汚染の毒性学的影響について、フィールド調査をもとに明らかにすることを目的としている。そのため、現地への渡航および試料の採集、研究調査が研究の基盤となっている。しかし、コロナ感染症の影響により、2020年度は現地に渡航して研究を推進できなかった。そのため、この分の研究については、予定よりも遅れていることは事実である。その一方、その分を国内での研究を先に推進することで補っている。特に、先に輸入したザンビア及び南アフリカの試料からこれまでに報告されていない重金属や農薬の毒性学的影響を明らかにし、学会や論文として報告することができた。また、ガーナにおける試料採集の許可も得ることができている。さらに、フィールドでの毒性学的影響を検証するために、室内実験も開始している。そのため、おおむね順調に進展しているとの判断とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に現地に渡航できなかった研究調査分については、現地及び国内の規制状況を鑑みながら、2021年度後半に実施をする予定である。しかし、その一方で、今般の状況から、2021年度も海外渡航ができない可能性がある。その場合は室内実験や、これまでに採集した試料の分析を進める。また試料の輸入についても試みる。得られた試料からは、特に、農薬および金属濃度の分析、毒性学的なマーカー分析、エピゲノム解析を実施する。最終的に、アフリカにおけるモデル地域での環境汚染の毒性学的影響について、データを統合し、研究成果を取りまとめる。また、本研究で得られる情報についてはオンラインでのシンポジウム等を開催するなど、情報の発信を行う。
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Causes of Carryover |
アフリカへの渡航について2020年度に実施できなかったため、海外旅費および現地で使用予定であった消耗品経費などを2021年度に使用予定とした。
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Research Products
(22 results)